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イラク戦争への評価の変化
高森明勅
高森明勅 イラク戦争当時、私も漠然とした容認論だった。 その頃は、既に小林よしのりさんに親しくして戴いていた。 だが、いち早く強烈なイラク戦争への批判を展開された小林さんの意見は、正直に言って突飛な極論との印象だった。 ただ、アメリカが無理やり相手を戦争に追い込んでいく開戦迄の経緯に、大東亜戦争と共通するものを感じ、強い違和感があった。 また、フセイン政権打倒後につい...
イスラム国人質事件を直視したゴー宣道場
高森明勅
高森明勅 今回のゴー宣道場は、イスラム国日本人人質事件での安倍政権の底抜けの大失策を、真正面から取り上げた。 覚悟も当事者意識もない政治指導者の、ただその場限りの大向こう受けだけを狙った、無思慮かつ軽薄極まる言動が、いかに国の進路を誤り、国民を危険に晒すか。 少なくともその一端は、詰めて議論出来たのではないか。私も発言の機会を比較的多く戴いた。 だが、圧倒的に時間が足...
誇示する残虐、隠蔽される残虐
高森明勅
高森明勅 イスラム国については、圧倒的に「残虐」というイメージが強いだろう。 確かに、残虐非道。それはその通り。 だがそれは、イスラム国自身があえて残虐さを露出させ、誇示し、演出しているから、という側面もある。 そうやって、敵を威嚇し、恐怖に陥らせ、自らの強さを印象付ける戦術なのだ。その点を見落とすと、まんまと彼らの戦術に乗せられることになる。具体的なデータで見るとど...
両陛下のお言葉を踏みにじるのは誰か?
高森明勅
高森明勅 改めて、「戦後70年」にちなむ天皇・皇后両陛下のお言葉を、謹んで掲げさせて戴く。 天皇陛下。 「先の戦争では300万を超す多くの人が亡くなりました。その人々の死を無にすることがないよう、常により良い日本をつくる努力を続けることが、残された私どもに課された義務であり、後に来る時代への責任であると思います。そして、これからの日本のつつがない発展を求めていくときに...
安倍首相中東歴訪、その前と後
高森明勅
高森明勅 安倍首相が中東歴訪する少し前に書かれたイスラム国の解説書を覗く。 すると、こんな感じ。 「イスラム国とは何なのかー?  この謎の集団が、日本人が関係したこうしたニュース(湯川氏の拘束ー引用者)をきっかけに、人々の関心を広く集めるようになっていきました。 それでも、中東はやはり『遠い国』です。 日本とは関係のない、どこかの話でしかありません。 しかし...
『新戦争論1』一気読みにつき謝罪
高森明勅
高森明勅 小林よしのり氏の新刊『新戦争論1』の“一気読み”が流行っているとか。 私はかねて、小林さんご本人から、漫画執筆がいかに手間暇のかかる難行苦行であるか、その一端をつぶさに伺っている。まして今回の作品は450ページもの大作であり、労作だ。どのページも、小林先生はじめよしりん企画のスタッフの皆さんが、心魂を傾け、心血を注いで、描き上げておられる。 それを、怱卒の間...
安倍首相はテロへの覚悟をなぜ訴えないのか?
高森明勅
高森明勅 安倍首相は国会での質問に答えて、「さまざまな観点を総合的に判断して中東歴訪を決めた」という。つまりその時点で、2人の日本人の人質は見殺しにしてもやむを得ない、と見切りをつけていたのだ。 やはり私が以前、指摘した通り、人質殺害は先刻、織り込み済みだった。 だからこそ、ことさらテロリストを挑発する言動を重ねた。だがそれによって、テロの脅威が一挙にはね上がった。国...
人質事件、識者のコメントから
高森明勅
高森明勅 最悪の結末を迎えたイスラム国人質事件。識者のコメントからいくつか、断片的に引用させて戴く。 「ISが人質をテロ行為に利用する可能性について、政府はどこまで想定していたのか」(日本赤十字看護大学教授・元外交官、小池政行氏) 「『ISIL(イスラム国の別称)と闘う周辺各国への支援を約束する』という表現は、2人の人質がいることを考えれば相手を挑発する可能性があり、...
人質事件は続発するか?
高森明勅
高森明勅 今回のイスラム国日本人人質事件は、どうやら最悪の結末を迎えた可能性が高い。 それが事実なら、とても残念だ。イスラム国の卑劣非道な行為は強く非難されねばならない。 無論、今回、拘束された2人については、自己責任という側面を否定できない。 だがそのことと、安倍政権の明らかな失策については、厳密に区別して検証する必要がある。 この度のことで、イスラム国は勿論、世界...
イスラム国VSヨルダンの対立に翻弄されるだけの安倍政権
高森明勅
高森明勅 イスラム国人質事件の現地対策本部の設置場所にヨルダンはまずい、トルコにすべし。 という声が、政府内部に当初からあった。にも拘らず、それを振り切ってヨルダンに設置。 その結果は?元々対立していた両者による、それぞれの“カード”を使った虚々実々の駆け引きに、安倍政権は完全に巻き込まれた。ヨルダン政府はしたたかに、日本人の後藤氏も自らのカードに組み入れているように...
現地対策本部は何故ヨルダン?
高森明勅
高森明勅 既にあちこちで指摘されているけど、イスラム国人質事件の現地対策本部は何故ヨルダンに置いた? イスラム国との「戦争」当事者なのに。ヨルダン自体が人質問題を抱え、更にテロリストの死刑囚など厄介な“爆弾”も抱えている。事態が一層ややこしくなるに決まっている。イスラム国とのパイプがあり、人質解放の実績もあり、親日のトルコに何故しなかった? 考えられる理由は3つ。 そ...
産経新聞の社説が面白かった
高森明勅
高森明勅 1月26日の読売、朝日、産経の社説を読み比べた。 読売、朝日はまるでつまらない。 産経新聞が1番、面白かった。 例えば、「当初、イスラム国側から要求された2億ドルの身代金は、安倍首相が中東歴訪の際に、イスラム国対策に拠出を表明した額と同じだった。このことからか、首相の歴訪や演説が事件を誘発したとの発言が野党陣営から相次いだ。…足を引っ張っている場合か」と。 ...
危険が見えない安倍首相で「戦中」へ?
高森明勅
高森明勅 果たして安倍首相は、自分の言動がもたらす国際的な波及効果について、どこまで自覚があるのか。危険が見えていない政治指導者ほど怖いものはない。得意満面の笑顔で、とてつもない災厄を招き寄せるからだ。これまでのイスラエルの行動は、イスラム社会からは「テロ」と見られていて、ネタニヤフ首相は「テロリスト」とまで呼ばれている。 そのネタニヤフ氏と握手して、「テロ対策で連携...
勇敢?無謀?冷酷?対イスラム国支援
高森明勅
高森明勅 例えば、産経新聞1月19日付の1面にはこんな記事が。 「ヨルダン支援 対イスラム国 120億円 首相、積極関与を表明」。 安倍首相は、イスラム国との戦争“当事者”であるヨルダンなどに巨額の財政支援を行うことで“テロとの戦い”に「積極関与」することを「表明」したのだ。安倍氏の得意満面の笑顔が見えるようではないか。この記事を読んで、...
印象深い1ページ
高森明勅
高森明勅 引き続き『新戦争論1』について。 「戦争と戦闘の違いを知っているか?」の章も、いかにも小林よしのりさんらしい強烈な1本。 単なる「戦争」と「戦闘」の概念整理などではないので、要注意。 読み終えて以前、小野田寛雄さんから聞いた言葉を思い出した。 「(ルバング島で)日本本土が米軍に占領されたことは知っていました。でも、それくらいで日本が降伏するとは思わなかった」...
小林よしのり氏の最新作『新戦争論1』読了
高森明勅
高森明勅 小林よしのりさんから『新戦争論1』(幻冬舎)を送って頂いた。他にやらねばならないことがあるのに、一気に読了してしまった。恐らく「読者」としては、最も早く読み終えた1人だろう。 尤も、作者の小林さんご本人が、ブログで読者より先に読了したと自慢しておられた。あれは一種の反則か。 とにかく、まず刊行のタイミングに驚く。 「イスラム国」登場の背景が、思いも寄らぬ視点...
「55年体制」の正体
高森明勅
高森明勅 先に、「ポツダム体制派VSサンフランシスコ体制派」というかなり粗っぽい分類を、敢えてやってみた。 それを見て「ああ、成る程。55年体制って、そういうことだったのか」と納得された人もいるだろう。 もっとも、若い世代の人は“55年体制”という言葉を知らないかも。 1955年(昭和30年)に日本社会党の左派と右派が統一し、日本民主党と自由党が合同して(いわゆる保守...
人質殺害も織り込み済み?
高森明勅
高森明勅 いつの間にか、今回の人質事件への政府の対応のキーワードが、「人命第1」ではなく、「テロには屈しない」に変わっている。というより、最初から身代金を支払うつもりなど、更々ないのだろう。 身代金を支払えば、イスラム国を援助することになるし、次々と人質事件を誘発しかねない。 だから、それはそれで良い。残酷なようだが、やむを得ない。 私の家族や私自身が人質でも、そう考...
再び米国の脅威とならざることを確実にする
高森明勅
高森明勅 戦後史のメインストリームは、甚だ無念ながら「被占領とその延長」と要約できた。 その源流を探ると「降伏後における米国初期の対日方針」(SWNCC‐150/4)なる文書に辿り着く。 そこには、アメリカの占領目的が端的に表明されている。 即ち「日本国が再び米国の脅威となり又は世界の平和及(および)安全の脅威とならざることを確実にすること」(第1部“究極の目的”〔イ...
政府は人質の危険を織り込んでいたのか?
高森明勅
高森明勅 「イスラム国」が日本人2人を人質に取り、その身代金として2億ドルを要求している。 許しがたい暴挙だ。人質の1人、ジャーナリストの後藤健二氏はベテランで、現地の危険を熟知していたという。 それでも、知人の湯川遥菜氏を救い出す為に、敢えて現地に赴いたとか。それが事実ならとても辛い。 2人が助かることを願う。やや気になるのは、湯川氏がイスラム国に捕まったのが昨年8...