高森明勅

『新戦争論1』一気読みにつき謝罪

高森明勅

2015年 2月 4日
小林よしのり氏の新刊『新戦争論1』の
“一気読み”
が流行っているとか。

私はかねて、小林さんご本人から、
漫画執筆がいかに手間暇のかかる難行苦行であるか、
その一端をつぶさに伺っている。

まして今回の作品は450ページもの大作であり、労作だ。

どのページも、
小林先生はじめよしりん企画のスタッフの皆さんが、
心魂を傾け、
心血を注いで、描き上げておられる。

それを、怱卒の間に読み飛ばそうなどとは、不埒千万。

1ページ、1ページ、押し頂きながら拝読すべきではないか。

ーーなどと憤慨している場合ではなかった。

私自身がいち早く、一気読みしたなどと、
調子に乗ってブログに書いていた。

いやー、他に優先すべき仕事もあったのに、
途中から止まらなくなって…。

むにゃむにゃ。

思うにこれは、恐らく作者が悪いのではないか。

こんな、一気読みを「強制」するような作品を描いてしまって。

だが、小林氏にはぜひお伝えしておきたい。

一気読みをした(してしまった?)読者の多くが、
放っておいても再読、三読し、
精読、熟読するだろう。

そして、執筆に費やしたより遥かに長期に亘って、
この作品を身近に置き、
折に触れて読み返すであろう。

また、『戦争論』が長く新しい読者を得て、
今も読み継がれているように、
この作品もまた長い生命を保つに違いあるまい、と。

あれ?一気読みの謝罪のつもりで書き始めたのに。

まぁいいか。

これにて、平にご容赦願い上げる。