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皇太子殿下と「水」問題
皇太子殿下と「水」問題
高森明勅
高森明勅 皇太子殿下がブラジルにお出まし(3月16日から22日)。 「第8回世界水フォーラム」にご臨席の為だ。19日のフォーラムでは開会式でのご挨拶の他、「水と災害」をテーマにした会議で「繁栄、平和、幸福のための水」と題して基調講演をなされた。 講演後の取材に対して 「水問題を解決することが、平和に繋がるという最近の世界の動き、それを肌で感じました」 とおっしゃってい...
日本教師塾、新展開?
日本教師塾、新展開?
高森明勅
高森明勅 「日本教師塾」は首都圏の若手教師を中心とした自主的な研修会(勿論、年齢不問で教師以外の参加も歓迎)。 これまでは大体、施設内でテーマに沿った複数の先生方のモデル授業の発表と、私の講義2コマ(60分×2)の組み合わせ、という形で行われて来た。 4月からの新年度では、新しいやり方を試みようとしているようだ。 あちこちに出かけて、そこで学ぶことを考えているとか。 ...
いつまで「男尊女卑」を踏襲するのか
いつまで「男尊女卑」を踏襲するのか
高森明勅
高森明勅 政府は来年に行われる「剣璽等承継の儀」では女性皇族を全て排除するという。それは平成の前例を踏襲する為。 その前例は旧「登極令」附式(明治42年)の規定に立脚した。 だが同令は、旧皇室典範(明治22年)の下に位置付けられた旧「皇室令」のうちの1つ。当然、旧典範を前提とし、それとの整合性に配慮した内容になっている。ところが旧典範では、女性皇族は皇室の重要案件に対...
剣璽等承継の儀には男性皇族だけ?
剣璽等承継の儀には男性皇族だけ?
高森明勅
高森明勅 皇太子殿下のご即位に伴って最初に行われる儀式が「剣璽等承継の儀」。 今上陛下の時(昭和64年1月7日)に供奉(ぐぶ)した皇族は男性だけだった。 これは旧「登極令」附式(明治42年)の規定(親王・王に限定)を踏襲した為。政府はこれを、皇位継承資格を持つ皇族に限った、と説明した。だが、そうした「限定」を設ける根拠は薄弱だ。古い男尊女卑の感覚を残した形と言わざるを...
障害者スポーツへの天皇盃
障害者スポーツへの天皇盃
高森明勅
高森明勅 かねて天皇陛下は、社会的に弱い立場にあったり、困難な状況に置かれたり、様々なハンディキャップを背負っていたりする人々に対して、取り分け御心を寄せてこられた。障害者へのお気持ちも深く厚いいものがおありだ。現在の全国障害者スポーツ大会(前身は全国身体障害者スポーツ大会)も、元々は皇太子時代の陛下のご提案がきっかけとなっている。皇太子時代には、こんな発言もされてい...
北海道新聞の取材など
北海道新聞の取材など
高森明勅
高森明勅 先日、北海道新聞の取材を受けた。 天皇陛下のご譲位と皇太子殿下のご即位に伴う儀式のポイント等々。 1時間ほど話をした。 一昨年の夏以来、ご譲位を巡る政府の取り組み等の節目ごとに、各種メディアの取材を受けている。 勿論、各メディアは他の「識者」の取材も行っているはずだ。 しかし、時間が経過し、取材が繰り返されるうちに、誰の分析、見通し、評価がより妥当か、次第に...
権力の堕落
権力の堕落
高森明勅
高森明勅 ある種の犯罪者は決して自分の罪を認めないという。現行犯で逮捕されても、その場で逮捕した警官に対してさえ、平然と自分の罪を否定するらしい。 異常な神経と言う他ない。だが我々が今、眼前に見ている権力の堕落は、それを遥かに上回る。 犯罪の張本人が悪びれもせず、「犯人を探せ!」と叱咤しているような構図。 奇怪千万だ。
帝国憲法と「主権」
帝国憲法と「主権」
高森明勅
高森明勅 帝国憲法では(現憲法の国民主権に対し)「天皇主権」だった、との説明をよく見かける。 だが、帝国憲法下では「天皇機関説」が通説で、実際の運用もそれに立脚していた。 そうであれば「天皇主権」であったはずがない。 例えば、次のような指摘がある。「帝国憲法の下では誰が主権者であったのか。現在では、憲法学者、政治学者でさえ、帝国憲法の主権者は天皇であったと説き、民主主...
関西ゴー宣道場、充実の議論
関西ゴー宣道場、充実の議論
高森明勅
高森明勅 「新世代の憲法論」とのテーマを掲げ、第70回(!)ゴー宣道場が大阪で開催された。ゲストは憲法学者で京都大学教授の曽我部真裕氏と衆議院議員の山尾志桜里氏のお2人。 憲法を巡る議論のステージそのものが、護憲か改憲を巡る硬直したイデオロギー的な対立の段階から、どこをどう改正すれば良いかをプラクティカル(実用的)かつ柔軟に議論できる段階へと移行した、との曽我部教授の...
「北朝鮮」情報断片
「北朝鮮」情報断片
高森明勅
高森明勅 北朝鮮を巡る情勢が新たな展開を見せている。南北首脳会談と米朝首脳会談が立て続けに行われそうだ。これはわが国にとって歓迎すべき事かどうか。いくつか断片的な情報を。 「(北朝鮮への)国際的な経済制裁が続く限り、中国への依存をゼロにできない。制裁解除には核兵器の放棄が必要だが、それはあり得ない。金王朝の維持には核兵器が不可欠と信じているからだ。そうなると自国の経済...
憲法9条と沖縄
憲法9条と沖縄
高森明勅
高森明勅 護憲論者に問いたい。 沖縄を見捨てるのか、と。 憲法9条の「戦力不保持」規定と沖縄の軍事基地化は、少なくとも同趣旨を憲法に盛り込む指示をしたマッカーサーにとっては、不可分の“セット”だった。 「日本の安全をどう守るか…マッカーサーは、あるいは米国の軍部は、日本占領以前にある腹案をもっていた。それは沖縄の軍事基地化である。 …1945年12月に成立した『改正衆...
「交戦権」とは?
「交戦権」とは?
高森明勅
高森明勅 憲法9条2項に「国の交戦権は、これを認めない」とある。 “交戦権”とは何か? 興味深いのは、日本国憲法の原案であるGHQ案作成の中心人物だった、民政局次長だったチャールズ・L・ケーディス陸軍大佐(当時)の、後年の証言だ。 憲法学者の西修氏の「『交戦権』とは、どんな意味なのでしょうか」という質問(1984年11月の取材)に、次のように回答している。 「わかりま...
日本とドイツ、憲法比較
日本とドイツ、憲法比較
高森明勅
高森明勅 第2次世界大戦の敗戦国、ドイツ。 その「ドイツ連邦共和国基本法」(1949年5月施行)にも、わが国の憲法9条1項と共通する条文がある。 即ち「諸国民の平和的共同生活を妨げ、特に侵略戦争の準備をするのに役立ち、かつ、そのような意図をもってなされる行為は、違憲である」(26条)と。 しかし、日本の憲法とは異なり、憲法施行後の改正で、以下のような条文も追加された。...
日本とイタリア、憲法比較
日本とイタリア、憲法比較
高森明勅
高森明勅 現在の国際法では「武力行使」は一般的に違法化されている。だから、憲法9条1項は別に“特異”な規定ではない。 例えば、イタリア共和国憲法(1948年施行)にこうある。 「イタリアは他の人民の自由を侵害する手段および国際紛争を解決する方法としての戦争を否認する」(11条)と。これはわが国の憲法の9条1項の趣旨とほぼ重なる。 しかし、同憲法では、この条文の一方で、...
北朝鮮の核兵器はどこを狙うか?
北朝鮮の核兵器はどこを狙うか?
高森明勅
高森明勅 北朝鮮が核武装化を進めている。 同国の核兵器はどこを狙うか。消去法で理性的に考えると、もし北朝鮮が核兵器を使う場合、わが日本以外にその対象は想定し難い。 その事を、私はこれまで様々な場面で繰り返し語り、警鐘を鳴らして来た。これに対し、軍事専門家も、私と殆ど同じ思考経路で、同じ結論に達しておられる。私の素人考えもまんざら的外れではなかったようだ。即ち以下の通り...
アメリカは北朝鮮を攻撃できない?
アメリカは北朝鮮を攻撃できない?
高森明勅
高森明勅 これまで北朝鮮に対して「圧力か対話か」という選択肢が喧伝されて来た。 しかし、もはやそんな局面ではあるまい。 率直に言って、「戦争か譲歩か」の二者択一こそが問われている。 それが真相ではないか。 では、アメリカは北朝鮮を攻撃するのか。 それは無理だろう、というのが専門家の見立て。1969年4月15日に米軍偵察機が公海上空で北朝鮮の戦闘機に撃墜された時の前例が...
ゴー宣道場師範の打ち合わせ
ゴー宣道場師範の打ち合わせ
高森明勅
高森明勅 3月4日、ゴー宣道場の師範が集まって打ち合わせ(但し笹幸恵氏はペリリュー島)。 そこで、3月2日の私のブログを読んで、小林よしのり氏が侮辱されたように受け取られた事を伺った。更に、道場を支えて下さっている人たちの中にも、道場そのものが貶められたように感じた人がいたと。私があのブログで言いたかったのは、学者、研究者にとって思想的・政治的にメッセージ性の強い場所...
保守の遺言
保守の遺言
高森明勅
高森明勅 郵便受けに書籍小包が届いていた。 開けてみると、中身は故・西部邁氏の新刊『保守の遺言』(平凡社新書)。 娘の智子(さとこ)さんを相手に口述筆記した最後の著書。著者のプロフィールには「2018年1月21日に自裁を遂げる。本書が絶筆となる」とある。あとがきの日付は「平成30年1月15日」。 亡くなる1週間前だ。締め括りに以下のようにある。 「自分の娘智子に口述筆...
安倍首相の苦境
安倍首相の苦境
高森明勅
高森明勅 安倍首相が苦境に立たされている。 自ら「働き方改革国会」と名付けた国会が始まって間もなく、答弁の撤回から「裁量労働制拡大」そのものの法案からの“全面削除”にまで追い込まれた。 と思ったら、間髪を入れず、森友学園の国有地取引を巡る決裁済み公文書の「書き換え」問題が、急浮上した。 朝日新聞が時期を見計らって報道したのか。それとも、この局面で財務官僚がリークしたの...
裁量労働制拡大「削除」の教訓
裁量労働制拡大「削除」の教訓
高森明勅
高森明勅 安倍首相は今の国会を「働き方改革国会」と名付けていた。その目玉が「裁量労働制」の拡大。 それを“全面削除”する羽目に陥った。今年の政治日程がスタートして早々の予想外の躓(つまず)き。どうしてこんなみっともない顛末になったのか。安倍首相が振り回していたデータの余りの杜撰さに、自民党内からさえ批判の声が噴出した事実も、その一因だろう。9月には自民党の総裁選が控え...