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マーク・トウェインの『王子と乞食』のように
高森明勅
「昭和の日」が近づいた。昭和天皇のお言葉を飛び飛びに振り返っていると、次のようなやり取りが目を惹いた。 昭和50年9月に皇居・宮殿石橋の間で、アメリカ『ニューズ・ウィーク』誌のバーナード・クリッシャー東京支局長のインタビューに応じられた時の一齣。記者 「陛下は1日でも一般の人になって、誰にもまったく気付かれず、皇居を抜け出し、気ままに振るまってみた...
英霊に顔向けできるか
高森明勅
4月21日から靖国神社の春季例大祭。 22日には、この度も勅使のご差遣を仰ぐ。陛下の靖国神社の英霊にお寄せになるお気持ちは深い。 だが、戦後70年の節目の年だというのに、首相の参拝はない。どころか、そのことが話題にすらならない。一昨年の参拝でアメリカが「失望」を表明したから。英霊への尊崇を軽々しく口にしても、アメリカの顔色を窺うのは、それより大事と心得ている...
ペリー来航から60年弱で主権国家確立
高森明勅
ペリー来航(1853年)から14年で大政奉還。その翌年が明治元年だ。 変革期の時の流れは早い。ちなみに開国はずっと前。すでにペリー来航の翌年には日米和親条約(神奈川条約)を結び、下田・箱館2港を開いた。 その更に4年後には、日米修好通商条約など(安政の5ヵ国条約)が調印されている。この開国を引き金として、時代は幕末の激動へと突入した。その不平等条約が最終的に...
アメリカ追従で防衛費が10倍?
高森明勅
先に、「アメリカ追従は正しい現実的判断」との意見を紹介した。その背景にあるのは、軍事アナリスト、小川和久氏流の「コストとリスクを検討すれば…」というロジックだろう。だが小川氏のコスト計算は、田母神俊雄氏+自衛隊OBグループの試算と比較すると、大きな隔たりがあった。前者は今の防衛費の5倍弱ないし6倍位と見積もっていた。これに対し、後者だと1.3倍ほど。 ところ...
日本は「自立できない軍事力」という道しかない?
高森明勅
軍事アナリストの小川和久氏がこんな指摘をされている。 「21世紀の日本の選択肢は、(1)…『自立した軍事力』を持つか、(2)現在の『自立できない軍事力』を日米同盟で補うにとどめるか、の2つに1つだ。コストとリスクを検討すれば(2)を選ぶほかに道はない」と。コストについて、具体的には30兆円(最近の発言では23兆円)程度の防衛費が必要と見ているようだ。現在の防...
自民党、わかりやすい「圧力」
高森明勅
自民党がNHKとテレビ朝日の幹部を呼びつけるという。NHKはクローズアップ現代のやらせ問題、テレ朝は報道ステーションでの古賀茂明氏の発言について問い詰めるらしい。 NHKについては他の番組も萎縮させようとし、テレ朝の場合は報ステを狙い撃ち、と受け取られても仕方がないやり方。 勿論、他のメディアへも一罰百戒的な波及効果を期待しているはず。絵に描いたようなメディ...
アメリカ追従は正しい?
高森明勅
産経新聞(4月14日付)のコラム「鈍機翁のため息」(桑原聡氏)にこんな一節が。 「いま、アメリカに追従するのは正しい現実的判断だ。そうしながら安倍政権が志向しているのは『戦後レジームからの脱却』、つまり真の意味での国家主権の回復だと思う」と。なかなか興味深い。 まず、アメリカ追従という“苦い現実”から目を反らしてはいない。 その上で、それは限定付きで「正しい...
陛下、ペリリュー島からご帰国
高森明勅
天皇・皇后両陛下が4月9日、無事にパラオからご帰国。陛下にとって長年のご宿願が、やっと果たせたことになる。そのご感慨は拝察するに余りある。 羽田空港で皇太子・秋篠宮両殿下がお出迎えになった。 その当たり前の光景に、何故か胸の詰まる思いがした。 陛下のご出発に当ってのお言葉に、「祖国を守るべく戦地に赴き」との一節。 一見、何気ないご表現に見えるかも知れない。 ...
バラエティー番組の監修と出演
高森明勅
3月31日、テレビ朝日とその系列各局で「芸能人格付けチェック=超一流!大物芸能人がパニック!全員揃って映す価値なーし!?SP」というバラエティー番組が放送された(午後7時〜9時54分)。お笑い芸人の浜田某氏がMCを務め、大物芸能人が箸の持ち方や謝罪訪問の仕方、神社参拝の作法などの「常識」を身に付けているかどうか、専門家が〇×を判定するという趣向。私はその中の...
靖国神社奉納プロレス
高森明勅
春の靖国神社では例年、境内で奉納プロレスも行われる。今年も3月29日に「大和神州ちから祭り」が行われた。この奉納プロレスについて、靖国神社の社報最新号のコラム「靖涛」で言及されていたので、紹介する。 「奉納プロレスの歴史も古く、今から54年前の昭和36年4月23日、相撲場に特設リングを設置し、力道山、ジャイアント馬場、アントニオ猪木各氏以下26名のレスラーに...
幻の名作『卑怯者の島』どう生まれ変わる?
高森明勅
ワクワクしている。 小林よしのり氏の幻の名作『卑怯者の島』が今、新しく生まれ変わろうとしているからだ。 以前、触れたことがあったかと思うが、この作品は未完のまま中断していた。 私の勝手な感覚では、あと1、2回で完結するかな、というところで途絶えていた。まことに残念で、続きが読みたい気持ちは高まる一方。 加えて、しばしばこんなこともあった。 自衛隊関係で地方に...
戦後70年、陛下のパラオご訪問
高森明勅
4月8・9日、天皇・皇后両陛下がパラオ共和国をご訪問になる。戦後70年に当たり、戦没者への慰霊のためだ。 陛下はこれまで、同じお気持ちから、戦後50年には長崎(7月26日)・広島(同27日)・沖縄(8月2日)・東京(同3日)を巡られ、同じく60年にはサイパン島にお出ましになっている(6月27・8日)。 平成6年にはご不便を押して、自衛隊機で硫黄島に赴かれた(...
「お里が知れた」高村氏の訪米
高森明勅
自民党の高村正彦副総裁が訪米。 メディアでは、その主目的は自民・公明両党が合意した安保法制の「基本的な方向性」の説明、併せて「日米防衛協力の指針(ガイドライン)」の再改定についても取り上げた―といった扱い。だが何故、自公合意早々、その内容をわざわざアメリカに説明しなければならないのか? 言う迄もなく、それがガイドラインに反映されるから。 だから、メインはあく...
真に「戦争が出来る国」とは?
高森明勅
一人前の独立国とは最低限、一人前の軍隊を持つ国だろう。一人前の軍隊を持つ国は当然、「戦争が出来る」。 だが、真に「戦争が出来る」とはどういうことか? 自分の意思で戦争を開始し、終結出来て、相手に少なくとも「一矢報いる」だけの戦力を持つ。それだけの条件を備えるのが必須。わが国がその条件を備えているかと言えば勿論、ノーだ。首相が自己慰撫的に「わが軍」な...
「敗戦国」はもうやめよう!
高森明勅
戦後の本質は、被占領とその延長という点にあった。それは言い換えると、いつまでも「敗戦国」のまま、ということ。だから何度も言うが、わが国は集団的自衛権“以前”の個別的自衛権すら、いまだに満足に行使出来る条件を備えていない。 にも拘らず、日本を打ち負かしたアメリカの為ならば、集団的自衛権だって使えます、と忠犬ハチ公ぶりを見せようとする(と言ってはハチ公に失礼か)...