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ためらひつつ、さあれども行く
高森明勅
年頭、昨年の天皇陛下の御製、皇后陛下の御歌が発表されている。その中から。 両陛下は昨年5月、前月の地震で大きな被害があった熊本を親しくお見舞いになった。その時の御製。 幼子の静かに持ち来(こ)し折り紙のゆりの花手に避難所を出づ両陛下は、避難所になっていた益城中央小学校の体育館をお見舞いになった。その折、小学生の女児から色紙で折ったユリの花束を受け取られている...
「おことば」の憲法学
高森明勅
原武史氏がこんなことを述べている。 「今回生前退位が実現すれば、それはどう取り繕っても天皇の『おことば』がきっかけとなっており…憲法4条に抵触すると思います」と。 原氏は元日経の記者で、専攻は日本政治思想史。 憲法学はズブの素人だ。でも百地章氏や八木秀次氏など、「保守」系の憲法学者も似たり寄ったりなことを言っている。 その一方、奇妙な逆転現象が起きているのか...
もしも鳩山・菅だったら?
高森明勅
安倍外交は連戦連敗。 どうしてこれほど負け続けるのか? プーチンを安倍首相の郷里、山口にわざわざ呼んで、鳴り物入りの首脳会談。 成果はゼロどころか、絵に描いたような「食い逃げ」。 と言うより盛大な食い逃げの「開幕」! これほど完膚なき迄の外交敗北は珍しい。トランプの自宅までノコノコ出向いて、「信頼できる」とヨイショした返礼がTPP離脱表明。 これも完敗だ。日...
高尾亮一氏のロジックは旧時代の遺物
高森明勅
いつまで旧宮内省文書課長だった高尾亮一氏のロジックにしがみつくのか。 天皇の自由意思による退位を認めたら、自由意思による即位辞退も認めなければならず、そうなれば皇位の継承が不安定になる、という言い分。八木秀次氏などが得意げに振り回しているのを見かける。実は高尾氏の受け売り。 だが、社会の高齢化もなく、今上陛下の献身的なご努力による「国民と共にある」天皇像も未...
映画「この世界の片隅に」は名作
高森明勅
先日、要件の合間を縫ってアニメーション映画「この世界の片隅に」を観た。 これは掛け値なしに名作。 近年、観てきた映画が、どれもチャチに思えてしまう。 最初、小さな規模で上映が始まり、じわじわ広がって、上映期間も延びている。 それも当然だろう。 派手さはない。人々を驚かせる仕掛けもない。 しかし、クスクス笑いの一方で、深い感銘がある。 こうの史代氏の原作マンガ...
「強制退位」以外は憲法違反?
高森明勅
いわゆる「生前退位」を巡る言説の馬鹿さ加減の底が見えない。果てしなく馬鹿げた言論が飛び交っている。 呆れたことに、退位の「要件」の1つに天皇ご自身の“意思”を加えるのは憲法違反、という批判まで飛び出す始末。例の第4条「天皇は…国政に関する権能を有しない」に違反するのではないか、と言うのだ。 どこまで歪(いびつ)な憲法解釈をしているのか。GHQより自虐的な戦後...
『SAPIO』で「天皇」図書の紹介
高森明勅
新年(1月5日)発売の『SAPIO』2月号に「ニッポンの大問題〔戦争〕〔天皇〕〔憲法〕を考えるための最強ブックガイド全27冊」という企画。その中の「〔天皇〕 陛下の『おことば』の意味と皇位継承を考えるための10冊」を担当した。 膨大な関連書籍を読み返して、その中から10冊の本を選び、ごく限られた字数で解説する。僅か2ページの記事ながら、仕上げるのに随分と苦心...
内閣の助言と承認(2)
高森明勅
先に、天皇の公的行為についても「内閣の助言と承認」が必要と錯覚している憲法学者がいた事について、述べた。その時に、実際の内閣の助言と承認の具体的な形式を紹介した。これが一般には余り知られていなかったようだ。そんな中身だったのかと、驚いた人もいたらしい。 「助言と承認」は、“助言”と“承認”が(行為の前と後に)それぞれ別々に行われる、と思っていた人も多かったよ...