高森明勅

「強制退位」以外は憲法違反?

高森明勅

2016年 12月 30日

いわゆる「生前退位」を巡る言説の馬鹿さ加減の底が見えない。

果てしなく馬鹿げた言論が飛び交っている。

呆れたことに、退位の「要件」の1つに天皇ご自身の“意思”
加えるのは憲法違反、という批判まで飛び出す始末。

例の第4条
「天皇は…国政に関する権能を有しない」
に違反するのではないか、と言うのだ。

どこまで歪(いびつ)な憲法解釈をしているのか。

GHQより自虐的な戦後憲法学を更に上回る酷さ。

退位は専らご本人の身の処し方の問題。

国政には関わらない。

憲法が想定しているのは、
「国事行為において(天皇ご自身が)『
この大臣の任命には反対だ』
とか『
いまの衆議院は解散するしかない』と言い出したり、あるいは
天皇が党派政治に巻き込まれたりするような事態」
長谷部恭男氏)だ。

拡大解釈にも程がある。

そもそも退位に当たり、ご本人の意思を100%
排除するというのは、
余りにも不合理ではないか。

まさに「強制退位」そのもの。

しかも退位は、ご本人の意思だけでは決まらない。

その最終的な決定権は皇室会議に属する。

決定権の無い「国政に関する権能」なんてあるのか。

馬鹿の底が抜けてしまったのだろうか。