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木村草太氏の自民党改憲案「緊急事態条項」批判
木村草太氏の自民党改憲案「緊急事態条項」批判
高森明勅
高森明勅 憲法学者で首都大学東京教授の木村草太氏。 自民党改憲案(平成24年に決定)の緊急事態条項(98・99条)を巡り、以下のような発言をされている(『自衛隊と憲法』)。 「何気なく読むと、大した提案ではないように見えるかもしれませんが、この条文はかなり危険です」 「緊急事態の定義が法律に委ねられており、緊急事態宣言の発動要件は極めて曖昧です。その上、国会承認は事後...
帝国憲法下の「緊急事態条項」発動の実例
帝国憲法下の「緊急事態条項」発動の実例
高森明勅
高森明勅 今の憲法には緊急事態条項を欠く(せいぜい参議院の緊急集会を規定した54条2項くらい)。 一方、帝国憲法には勿論、それがあった。 緊急勅令を定めた8条。戒厳の布告を定めた14条。 戦時などの非常大権を定めた31条。緊急財政処分を定めた70条。これらが過去に発動された実例がある。 8条が発動されたのは、大正12年(1923)の関東大震災と昭和2年(1927)の金...
井上武史氏の改憲論
井上武史氏の改憲論
高森明勅
高森明勅 憲法学者で九州大学准教授の井上武史氏。6月の九州ゴー宣道場にゲストとして参加して下さる。その井上氏の改憲論の一端を紹介しておく。 「立憲主義との関係で重要なのは『緊急事態条項』である。わが国において緊急事態論議では必ずナチスの独裁政治が引き合いに出され、権力濫用の面ばかりが強調される。 しかし、現在の議論は戦前の反省を踏まえたもので、むしろ非常時の権力統制と...
教条主義的な護憲論にあらず
教条主義的な護憲論にあらず
高森明勅
高森明勅 先の拡大版ゴー宣道場で、ゲストとして参加して下さった立憲民主党代表の枝野幸男氏。 「立憲民主党には、教条主義的な護憲論の政治家は、辻元清美さんを含めて1人もいません」と明言された。 これは、同党がいわゆる“護憲政党”ではない、という表明だろう。それが単なるリップサービスでなかった事は、「但し、憲法がいかにあるべきかという“憲法論”と、それを政治の場でどのよう...
自民党改憲案の劣悪さ
自民党改憲案の劣悪さ
高森明勅
高森明勅 憲法99条だけを見ても、憲法が予想する国家統治の中で、「天皇」という地位が(「三権の長」と比較しても)、いかに重大な役割を期待されているかが分かる。先にそのような指摘をした。 そこで改めて、自民党の改憲案(平成24年に決定)のダメダメぶりを見ておこう。 同改憲案の(現行の99条に該当する)102条は以下の通り。 「102条 全て国民は、この憲法を尊重しなけれ...
福島への思し召し
福島への思し召し
高森明勅
高森明勅 平成26年5月21日、天皇陛下には(いわゆる“私的なご旅行”つまり陛下ご自身のお気持ちによるご旅行として)栃木県佐野市を訪れられ、現地の郷土博物館に赴かれた。 そこで、足尾鉱毒による被害を明治天皇に訴えようとした、田中正造の直訴状の現物をご覧になった。明治天皇には遂に届かなかった直訴状。 それを、陛下の方からわざわざお足をお運びになって、直接ご覧になったのだ...
来年の大嘗祭に万全を期す方法
来年の大嘗祭に万全を期す方法
高森明勅
高森明勅 5月10日、福島県郡山市へ。 神職の研修会に出講。 「御即位30年と御代替わりについて」との演題で 2時間、話をした。 質疑応答の時間を十分取れなかったのは残念(私の喋り過ぎ)。 でも2人から質問を受けた。 その1人は熱心で、わざわざ控え室まで来て感想を述べてくれた。 改元と「ご聴許」の件。 更に、控え室で別の方からも感想を承った。 私が講演中に問題提起した...
「天皇」に始まり「天皇」に終わる憲法
「天皇」に始まり「天皇」に終わる憲法
高森明勅
高森明勅 日本国憲法の出自は大変不幸。 そんな憲法でも「天皇」は極めて重視している。 これまでも指摘して来たように、第1章(!)に 「天皇」の規定を一括して置いている。 憲法全体の構成を見ると、 天皇→戦争放棄→国民の権利と義務→国会→内閣→ 司法→財政→地方自治→改正→最高法規→補則という配列。 明らかに優先順位に配慮した並べ方だ。 「天皇」は最優先されている。 更...
論破された話
論破された話
高森明勅
高森明勅 ある新書の執筆を依頼された。 何と“横組み”だとか。私はやんわり疑問を呈した。 「それだと読者が読み辛くないですか。普段、目にしている新聞や週刊誌なども皆、縦組みですから」と。 「いや、そんな事はありません。我々が想定している読者が日頃、目にしているのはLINEやTwitter、Facebookなど、みんな横組みですから」と一蹴されてしまった。新聞も週刊誌も...
わが国が最強になれば…
わが国が最強になれば…
高森明勅
高森明勅 先日、長男がインドから帰国。 1週間ほど滞在したようだ。滞在中の詳しい事はまだ聴いていない。拡大版ゴー宣道場にも友人と一緒に参加してくれたのだが、落ち着いて喋る時間はなかった。これまで断片的に聴いたところでは、雇った通訳がなかなか優秀だったらしい。 27歳の青年。その彼が、自分の祖国インドについて、こんな事を穏やかに語っていたとか。 「インドはいずれ中国を人...
警視庁捜査1課
警視庁捜査1課
高森明勅
高森明勅 見知らぬ人物から連絡。 それはしょっちゅう。多くはメディア関係者。 この時は「警視庁捜査1課の者ですが」と名乗った。 刑事さんらしい。 一瞬、ひょっとして、家族の誰かが厄介な犯罪に巻き込まれたか、と不安がよぎる。 が、そうではなかった。 西部邁氏の自裁に毒物が使われていたらしく、その出どころを探っていると。 10分ほど、いくつかの質問に正直に答えた。 最後に...
嬉しい知らせ
嬉しい知らせ
高森明勅
高森明勅 高森稽古照今塾の今期のお世話役をやってくれているKさんから連絡。宮内庁に申請していた9月上旬の皇居勤労奉仕の許可が正式に伝えられた、と。 嬉しい。 平成になって初めて(で恐らく最後)の勤労奉仕だ。 昭和の時代には現役の学生の頃、4回、奉仕をさせて戴いた。 その時、今上(きんじょう)陛下には、皇太子として東宮御所(とうぐうごしょ)でご会釈(えしゃく)を賜(たま...
「恩賜の改憲」にあらず
「恩賜の改憲」にあらず
高森明勅
高森明勅 5月3日の拡大版ゴー宣道場で私が言いたかった事の1つ。それは「“恩賜”(誰か上位の者から授けられるだけ)の立憲的改憲じゃない」という事。 そこを勘違いしてはいけない。我々は改憲論議を国民の側から盛り上げようとしている。 「恩賜の改憲」を排し、平成の“自由民権運動”を目指している。ならば、早く改憲条文案を「(山尾志桜里衆院議員などから)賜りたい」と、ただ手をこ...
元号と「ご聴許」
元号と「ご聴許」
高森明勅
高森明勅 元号を改める場合のポイントは「ご聴許(天皇陛下が聞き入れてお許しになること)」。 時事通信の記事「新元号の選定本格化」(5月5日8時22分配信)によると、「昭和」から「平成」への改元に当たり、閣議で正式に決定する前に、今上陛下にご報告していた。当時の石原信雄内閣官房副長官から宮内庁に「陛下のお耳に入れて欲しい」と連絡。恐らく藤森昭一長官を通じて、事前に「平成...
3種類の集会
3種類の集会
高森明勅
高森明勅 5月3日。 3種類の集会が開かれた。 1つは護憲派の集会。主催者発表で6万人が参加したという。改憲反対署名は、僅かな期間で既に1350万人を超えたとか。動員力では圧倒的。しかも、安倍首相の「自衛隊明記」加憲の提案によって、凋落するかに見えた護憲勢力が再び活性化している(その意味で、まさに枝野幸男氏が言うように「安倍首相こそ最大の護憲派」か)。 もう1つは改憲...
拡大版ゴー宣道場、大成功!
拡大版ゴー宣道場、大成功!
高森明勅
高森明勅 5月3日。 法律上は「祝日」。 でも、わが家ではこの日に国旗を掲げない。 その日の拡大版ゴー宣道場。開場前から長蛇の列。 いつにも増して熱気溢れる回になった。ゲストは4人。 井上達夫先生の発言が一番多かった。しかも早口で立て板に水。これを活字にすると、全体に占める割合はかなり大きくなりそうだ。初心者には必ずしも親切な内容ではない。しかし、その論理性と熱意、更...
憲法記念日の拡大版ゴー宣道場
憲法記念日の拡大版ゴー宣道場
高森明勅
高森明勅 安倍首相が「自衛隊明記」「9条死守」の“加憲”を提案して初めての憲法記念日。 ゴー宣道場は久しぶりの拡大版。天候が不安定とか。でも天候に左右されずに参加して下さる方々こそ、本気。そんな方々が集まれば会場は熱気に溢れ、ますます盛り上がるだろう。 憲法記念日に、旧式な教条主義的護憲でもなく、欺瞞に満ち対米従属を固定化する安倍加憲でもない、第3の選択肢を示そう。 ...
NHKの取材
NHKの取材
高森明勅
高森明勅 先日、NHKの取材を受けた。 平成の歳月を振り返る番組を企画しているらしい。 その絡みで、さる件について。 もはや、その出来事の舞台裏を 詳しく知っている者は、数少ない。 特に、私はやや特別な関わり方をしていた。 その事について、今となっては貴重な記録とった ブックレットの制作にも、中心的に関わった。 そんな経緯から、先にある全国紙が私に取材していた。 NH...
私の(周辺の)キス事件
私の(周辺の)キス事件
高森明勅
高森明勅 ジャーナリストの笹幸恵さんが「私のキス事件」というブログを書いておられた。 若き日の出来事が素材。それを読んで、私も遥か昔をちょっぴり思い出した。 但し、私の場合は周辺(!)でのキス事件。主役の彼女は私の中学時代の同級生。中学卒業後は1度も会っていない。 私の(本格的な!)初恋の相手だった。 勿論、片想い。 彼女は、私とは違う小学校に、東京から転向して来てい...
親の心、子知らず
親の心、子知らず
高森明勅
高森明勅 「親の心、子知らず」という。昭和天皇ほど切実に平和を希求され続けた方は他にいないだろう。それは戦前・戦中・戦後を貫いた。 にも拘らず、昭和天皇のご生前、あたかも悪質極まる戦争の張本人のように非難する人々が、国民の中にいた(今もいるかも知れない)。 事実はそうではない。戦争を回避すべく、立憲君主として最大限の努力をされ、敗戦後は戦争の(法的・政治的には背負う必...