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「平成」の元号は陛下の御聴許を得ていた
高森明勅
高森明勅 わが国の元号の起こりは「大化」。 以来、時代の変遷を超えて、元号は必ず天皇がお定めになって来た。 武家政権が登場しても、戦国の乱世が訪れても、この点に変化はなかった。 ところが、先の大戦に敗れ、占領下に国家全般の制度変更を余儀なくされた際、元号の法的根拠が曖昧化された。 このままでは「大化」以来の元号が、「昭和」を最後に失われてしまいかねない、危うい局面だっ...
中学2年生の時の「三島事件」
高森明勅
高森明勅 月刊誌『諸君!』平成11年12月号に「特集1970年11月25日『三島事件』」の一環として「著名人100人アンケート あのとき、何を。今は…」という企画があった。 各人が事件当時、何をしていて、どのような感想を持ち、今はどう考えているかを問うアンケートだ。 その中に「著名人」ではない私の回答も、何故か混ざっている。 「雷鳴の如き啓示」と題する拙文だ。 この拙...
三島由紀夫の天皇論
高森明勅
高森明勅 三島由紀夫は福田恒存との対談「文武両道と死の哲学」(『論争ジャーナル』昭和42年11月号、後に『若きサムライのために』に収録)の中で、自らの「天皇論の概略」を語っている。 その一部を紹介する。 「…ぼくは、工業化はよろしい、都市化、近代化はよろしい、その点はあくまで現実主義です。しかし、これで日本人は満足してゐるかといふと、どこかフラストレイトしてゐるものが...
守るべき最終的な価値
高森明勅
高森明勅 昭和45年11月25日、三島由紀夫は多くの人々に鮮烈な印象を遺して自決した。 三島は生前、石原慎太郎氏との対談「守るべき価値」(『月刊ペン』昭和44年11月号、後に『三島由紀夫対談集 尚武のこころ』に収録)の中で、次のようなやり取りをしている。三島「…バリューというものを追い詰めていけば、そのために死ねるものというのが、守るべき最終的な価値になるわけだ。…」...
私邸に住み続ける首相の「公」度
高森明勅
高森明勅 国民の中で最も公的な人物は誰か。 恐らく内閣総理大臣だろう。憲法上「国権の最高機関」とされる国会の衆参両院の議長と比べても、やはり国政の最高責任者たる内閣総理大臣の方が、より上回っていよう。 だがそんな総理大臣でも、公邸に移らないで私邸に住み続ける自由は、許されているようだ。危機管理を声高に唱える安倍首相は、政権発足から1年近く経つ。しかし、いまだに私邸から...
ケネディ大使が信任状を陛下に捧呈した意味
高森明勅
高森明勅 11月19日、新任のキャロライン・ケネディ駐日米大使は、沿道に詰めかけた多くの人たちの歓声を受けながら、儀装馬車で皇居に入った。 宮殿の「松の間」で天皇陛下に信任状を捧呈するためだ。信任状というのは国際慣習に基づき、外交使節を派遣した国の元首または外務省が、受け入れる側の元首または外務省に対して発する、使節の正当性を証明する文書。外交使節団のトップである大使...
伊勢神宮「遠隔」ガイドをやらされた
高森明勅
高森明勅 先日の朝方 、一人暮らしをしている長女からメール。「今、友達と伊勢神宮に向かっている」と。 そこで優しい親心で、少しばかり参拝の心得みたいなことを返信した。のが間違いだったか。 「じゃあ、現地に着いて分からないこととかあったら、その都度、電話して聞くから」という話になってしまった。 その後、ほとんど1日中、度々電話が入り、仕事の合間を縫って、伊勢神宮の「遠隔...
「上御一人(かみごいちにん)」という言葉
高森明勅
高森明勅 この度、宮内庁が発表したご火葬などを巡る「両陛下のお気持ち」をまとめた文書の中で、取り分け鮮やかな印象を与えたのは、次の一節だ。 「天皇陛下には、御陵の歴史の中で、かつて合葬の例もあったことから、合葬というあり方も視野に入れてはどうか、とのお考えをお持ちであったが、この合葬とすることについては、皇后さまから、ご自身昭和の時代にお育ちになり、『上御一人(かみご...
「政治利用」を巡る八木秀次氏の迷走(下)
高森明勅
高森明勅 なお参考迄に、習近平の件を私なりに整理しておこう。あれは、鳩山政権と小沢民主党という「特定の政治主体が」当時、中国の将来の指導者と見られていた習に対し、外交的な“貸し”を与えておくという「自らの政治目的を達する為に」、ルールを破って「皇室という存在を恣意的に手段とする行為」に及んだもの。 かつ習(政治主体)にも、中国共産党内での権力闘争に有利な実績作りの為に...
「政治利用」を巡る八木秀次氏の迷走(上)
高森明勅
高森明勅 高崎経済大学教授の八木秀次氏は、山本太郎氏の行為に絡む発言で、「天皇の政治利用」について「政治的主張などを『天皇の権威によって権威付ける』こと」といった、粗雑かつ通俗的な定義を採用していた。ところが近刊の『文藝春秋オピニオン2014年の論点100』では、概念規定は一切抜きで「政治利用」の典型例としてただ1つ、習近平ご引見問題だけを取り上げている。 だが習近平...
「皇室の政治利用」の“呪文"化を排す(下)
高森明勅
高森明勅 山本太郎氏の場合、確かに行為の主体は政治家、つまり「特定の政治主体」だった。またルール違反の「恣意的」な行為だったことも間違いない。しかし山本氏には失礼ながら、その行為がきちんとした「政治目的」を持っていたかとなると、甚だ疑問だ。 ましてや、その行為によって、「皇室の存在」を何らかの政治目的の「手段」とすることに成功したかと言えば、多少の売名的な効果はあった...
「皇室の政治利用」の“呪文”化を排す(上)
高森明勅
高森明勅 近来、「皇室の政治利用」という言葉が相手を攻撃する時の便利な決め台詞として、明確な概念規定も無しに、安易かつ無責任に使われているのではないか。 それはもう、意味は不明でもその言葉を発するだけで効果を現すと信じられている「呪文」に近くなっているような気がする。 勿論、厳密な意味での「皇室の政治利用」は断じて許されないし、それへの批判や警戒は決して怠ってはならな...
神聖な御陵を政治論争の場に置こうとする愚
高森明勅
高森明勅 竹田恒泰氏は、御陵の造営は国家事業であり、国費を充てるので「立派な政治課題」だと主張する。 ならば、政治家はそのあり方について、侃々諤々何の憚りもなく論争できることになろう。政治家にとどまらず、国民の誰もが論争に加わって当然という話になる。同じ基準を当て嵌めれば、国の行事として行われる天皇陛下のご葬儀「大喪の礼」についても同様だ。あるいは新帝の即位に際して執...
正気か?陛下の「お気持ち」に公然と反論を唱える竹田恒泰氏
高森明勅
高森明勅 これまで「旧皇族」と名乗って来た竹田恒泰氏が、ご火葬を望まれる天皇陛下の「お気持ち」に対し、ツィッターで公然と反論を唱えている。 何たる不遜か。まさしく前に述べたように、「形式の墨守のみを伝統尊重の態度と錯覚している…頑迷な者」「並外れて愚劣な(ほとんど狂気に近い)人物」と断ずる他ない。その主張はー「土葬から火葬への変更には疑問がある。『国民に負担を掛けたく...
「薄葬」という伝統
高森明勅
高森明勅 10月14日、宮内庁は御陵、ご葬儀などのあり方の変更について、その概要を発表した。 「えっ?!」と思った人もいたのではないか。 普通、本人が生きているのに、どんな葬式を挙げようとか、お墓はどうしょうとか、おおっぴらに語るなんてあり得ないだろう。 まして、最も尊貴な天皇陛下であれば一層、慎むべきではないかと、違和感を覚えた人もあろう。 だが、天皇という地位は、...
皇族への五輪招致ご協力要請は「政治利用」じゃない?
高森明勅
高森明勅 『文藝春秋オピニオン2014年の論点』に 八木秀次氏の一文が収められている。 タイトルは「高円宮妃久子さまのIOC総会スピーチは 『皇室の政治利用』か」。 そのポイントは以下の通り。 「ことの発端は、五輪招致を経済成長の『第4の矢』 としたい安倍晋三政権が皇室も招致に関わって頂きたいと 考えてきたこと」 「政府関係者は東京招致には久子さまのご協力が不可欠と判...
「天皇の政治利用」の定義
高森明勅
高森明勅 山本太郎参議院議員の行動を巡って「天皇の政治利用」 ということが盛んに論じられた。 しかし、肝心の「天皇の政治利用」の概念規定については、 ほとんどスルーされているように見える。 せいぜい 「政治的主張などを『天皇の権威によって権威付ける』こと」 といった極めて大雑把な理解で処理される程度だ。 しかしこんな定義だと、 山本氏にマイナスイメージを与えるのには役...
竹田恒泰氏「在日は日本の宝」の下心
高森明勅
高森明勅 竹田恒泰氏はネット上の動画で、 自らの「在日は日本の宝」発言の真意を説明している。 その要旨はー 「在日は宝ではないが宝になり得る。 宝として扱ってやれば、彼らを味方に引き入れることが出来て、 その方が得なんだ」というもの。 しかし、これほど在日の人々への甚だしい侮辱はないのではないか。 何しろ、本心では在日は「特権」まみれだし、 「宝」だなんて思っていない...
竹田恒泰氏いわく、「在日は宝」
高森明勅
高森明勅 『WiLL』12月号に、 これまで「旧皇族」を名乗ってきた竹田恒泰氏のインタビュー記事が 載っている。 新刊についての著者インタビューだ。 その中で、インタビュアーが 「日韓関係において非常に新鮮だったのは、 『在日の方を味方につけるべし』とのご意見でした」と発言している。 ということは、私は読んでいないが、 新刊の中でそうした主張を行っているのだろう。 竹...
山本太郎氏に「天誅」を下すべきか?
高森明勅
高森明勅 10月31日の秋の園遊会で、参議院議員の山本太郎氏が直接、 天皇陛下にお手紙を手渡すという事件があった。 その事件が報じられた直後から、 さまざまメールなどで連絡を頂く中、いくつか物騒な相談を受けた。 「こんな不敬な男をこのまま放置していいのか?」 「天誅を下すべきでは?」 「天誅を下そうと思うが、どうか(賛成して貰えるか)?」等。 だが当然ながら、こんな相...