高森明勅

守るべき最終的な価値

高森明勅

2013年 11月 25日

昭和45年11月25日、三島由紀夫は
多くの人々に鮮烈な印象を遺して自決した。

三島は生前、石原慎太郎氏との対談「守るべき価値」
(『月刊ペン』昭和44年11月号、
後に『三島由紀夫対談集 尚武のこころ』に収録)の中で、
次のようなやり取りをしている。

三島
「…バリューというものを追い詰めていけば、
そのために死ねるものというのが、
守るべき最終的な価値になるわけだ。…」

石原
何のために死ねるかといえば、それは結局自分のためです。
その自分の内に何をみるかということ」…

三島
「…最後に守るものは何だろうというと、
三種の神器(
じんぎ)しかなくなっちゃうんだ」…

石原
「…ぼくはぼくしかいないんだもの。
ぼくはやはり守るものはぼくしかないと思う」

三島
「身を守るということは卑しい思想だよ」ー


両者の思想の根源的な対立が、
くっきりと浮かび上がるやり取りだ。