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憲法9条「二段階」改正はあり得ない
憲法9条「二段階」改正はあり得ない
高森明勅
高森明勅 安倍首相が唱える9条「加憲」。 それを保守系の人らが弁護して、こんな事を言う。 まず自衛隊加憲の憲法改正をやる。その次に“本丸”の9条2項に斬り込む、と。 「二段階」改憲論だ。 しかし、それはあり得ない。 何故か。 自衛隊加憲を成し遂げた時点で、9条改正へのモチベーションはたちまち失われてしまうからだ。他国はいざ知らず、わが国では憲法改正に膨大なエネルギーを...
稽古照今塾など
稽古照今塾など
高森明勅
高森明勅 今月の主な予定など。 13日、高森稽古照今塾。 14日、ミス日本コンテストのファイナリストの激励会。但し今年は、残念ながら私の都合で参加できない。ファイナリストの皆さんには、審査当日、各自の持ち味と、これまで学んだことを存分に発揮して欲しい。 20日、『宗教問題』読者の集いで講演。テーマは「神道はこれからどこへ行くのか」。 27日、日本教師塾。テーマは「皇室...
改憲の岐路
改憲の岐路
高森明勅
高森明勅 来年夏に参院選。そこで自民党などが3分の2の勢力を維持できる保証はない。その為、安倍首相は“遅くとも”今秋の臨時国会で改憲を発議し、国民投票に持ち込もうとしている。 そういう報道がある。確かにありそうな話だ。 そうすると、臨時国会までが、改憲を巡る重大な岐路になろう。 「戦力」未満の自衛隊を憲法に書き込み、個別的自衛権が十全に機能し得ないまま、集団的自衛権行...
『朝日新聞』その他
『朝日新聞』その他
高森明勅
高森明勅 ずいぶん前に朝日新聞の取材を受けていた。 「平成と天皇」というシリーズ。 反対運動が盛り上がった天皇陛下のご訪中(平成4年)を取り上げたい、と。 天安門事件によって西側(自由主義)陣営が中国に対して経済制裁を実施している最中に、よりによって天皇陛下のご訪中を推進した当時の宮澤内閣の異常さを中心に、1時間位喋った。 私が関わった『〔検証と総括〕天皇陛下ご訪中問...
明治天皇の皇女の紀行文
明治天皇の皇女の紀行文
高森明勅
高森明勅 わが知友で都立高校教諭の中澤伸弘兄。 古書店で、標題も執筆者名もない、仮綴じの和本を手に入れた。文章は毛筆で書かれ、所々に朱で加筆訂正がなされている。和紙に「高輪御殿」と刷られているのが、彼の目を惹いた。高輪御殿は、暫く昭和天皇の弟宮の高松宮殿下がお住まいになった。今上陛下のご譲位後は、今の東宮(とうぐう)御所が仙洞(せんとう)御所として改築されるまで、ここ...
ある政治学者の支離滅裂
ある政治学者の支離滅裂
高森明勅
高森明勅 政治学者で一橋大学名誉教授の渡辺治氏。 護憲派の牙城「9条の会」の事務局を担当しているらしい。共産党の議長だった不破哲三氏との共著もある。インタビュー記事を見ると、言っている事が支離滅裂。 「天皇自身の意思による慰霊の旅、被災地訪問なども加わり、公的行為が際限なく肥大化した。憲法の想定していなかった天皇像が膨らんだ」→憲法は天皇を「日本国民統合の象徴」と規定...
年賀状から
年賀状から
高森明勅
高森明勅 年賀状には人生の様々な場面が映し出される。 若き友人、秋田県のI君は昨年、結婚。新郎新婦の記念写真を葉書に印刷している。おめでとう。ご多幸を祈る。教科書運動に尽力するE君は生後2ヵ月の長女の可愛い写真。さぞや嬉しかっただろう。自分の事を振り返ると、わが子が誕生した時の喜びは、ちょっと他に比べるものがない。Y夫妻の長男は1歳。夫婦とも我が教え子。「笑いに涙に、...
昭和天皇の「おことば」
昭和天皇の「おことば」
高森明勅
高森明勅 1月7日は昭和天皇のご命日(崩御相当日)。昭和64年1月7日。 冬の雨が静かに降る中、街角には弔旗が並んで掲げられていた。昨日の出来事のように思い出す。 今日、宮中(皇霊殿)では「昭和天皇祭」(大祭)が厳かに斎行される(武蔵野陵でも祭典)。昭和天皇をお偲(しの)びする縁(よすが)として、「おことば」をいくつか、謹んで顧みる。 「たとい連合国が天皇統治を認めて...
若手憲法学者の「天皇」再評価
若手憲法学者の「天皇」再評価
高森明勅
高森明勅 民主主義が自由や権利の保障と対立する場面があり得る。 更に、ポピュリズムが無謀な戦争を招き寄せる局面で、民主主義は全く無力だ。 そうした危険性に予めどう備えるか。自由主義的民主主義や立憲主義的民主主義には、明確にこうした問題意識がある。 同じ問題意識から、君主制の役割についても再評価できるだろう。憲法学者で北海道大学准教授の西村裕一氏の天皇についての言及は、...
自由vs民主
自由vs民主
高森明勅
高森明勅 自由民主党(自民党)という政党がある。 このような政党名から、「自由」主義と「民主」主義が“常に”整合的で調和する、という誤解が生まれかねない。 勿論、そんな事はない。民主主義では、しばしば多数者の横暴が罷り通り、異論を抑圧し、多様性を憎み、少数派や弱者を排除しようとする傾向が見られる。独裁者が求められ、むしろ権力の強大化が期待される。こうした場面では、自由...
頂点にいるものが不正直であれば
頂点にいるものが不正直であれば
高森明勅
高森明勅 ハーバード大学名誉教授で日本史を専攻しているアルバート・クレイグ氏。明治維新の主役は木戸孝允と大久保利通だったと評価する。これついて、「この2人が圧倒的に優れている点は何でしょうか」との問いに、次のように答えている。 「2人とも正直だったことです。頂点にいるものが不正直であれば、どんな国でも腐敗してしまうものです」と。 「頂点にいるものが不正直であれば…」 ...
平成大嘗祭秘話
平成大嘗祭秘話
高森明勅
高森明勅 天皇にとって最も大切な祭祀が一代に一度の大嘗祭。皇位継承儀礼としても極めて重大な意味を持つ。その大嘗祭を成り立たせるのが悠紀(ゆき)・主基(すき)両地方の国民が献じる新穀だ。両地方は斎田点定の儀によって選ぶ。 斎田点定の儀では、亀卜(きぼく)が行われる。 アオウミガメの甲羅をウワミズザクラで灼(や)き、その亀裂を読み解く。 これを古例、前例通りに行えるか。そ...
新年一般参賀
新年一般参賀
高森明勅
高森明勅 平成30年1月2日。 快晴。 皇居へ。 この日は新年一般参賀。午前最後のお出まし(3回目)が11時50分。それに間に合うように午前10時半に大手町駅D1出口付近で待ち合わせ。 ところが参賀の人達の行列が、地上から地下の駅通路にまで続いている。例年の正月とは比べものにならない人出。セキュリティチェックを済ませても、ぎっしりの人並み。いつまでも正門にたどり着けな...
御製より
御製より
高森明勅
高森明勅 平成30年の年頭に当たり、天皇陛下が昨年中にお詠みになった御製(ぎょせい)5首が発表になった。 その1首。 戦(いくさ)の日々人らはいかに過ごせしか思ひつつ訪(と)ふベトナムの国昨年、天皇陛下がベトナムをご訪問になった事を詠まれている。その時のエピソードについては、私が手掛けた『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)で以下のように触れた。 「(昨年)...
謹賀新年
謹賀新年
高森明勅
高森明勅 新年明けましておめでとうございます。 月並みながら、 万葉集の締め括りを飾る大伴家持の名歌。 新(あらた)しき年の初めの初春の今日降る雪のいや重(し)け吉事(よごと) 〔新しい年の初めの初春の今日降る雪のように、 いよいよ重なれ、めでたい事が〕 本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
大晦日
大晦日
高森明勅
高森明勅 大晦日。 この日、宮中(宮殿竹の間)では天皇の為に節折(よおり)が行われる。 6月末日にも同じ事が行われている。 祓(はら)いの行事。 古代から伝わる一種、不思議な儀礼。 又、皇族をはじめ国民の為に6月と12月の末日には大祓(おおはらえ)も(神嘉殿の前庭)。 これも源流は古代に遡る。その後、宮中三殿で除夜祭。年中恒例の祭祀では年間で最後のもの。これは掌典職限...
個人的に嬉しかった事
個人的に嬉しかった事
高森明勅
高森明勅 今年、個人的に嬉しかった事を1つ。 ある件を巡り、珍しく長男と意見が食い違った。 「皆さんの判断は間違っていると思いますよ」と。 「いや、皆さんではない。私が断固として異議を唱えたら違う方向もあり得たはずだ。しかし、私も賛成したのだから、もし間違っているとしたら、それは私自身だ」 「なら、お父さんが間違えましたね」ーといったメールでのやり取り。 で、後日。某...
八木秀次氏の離婚・廃太子論
八木秀次氏の離婚・廃太子論
高森明勅
高森明勅 天皇陛下のお気持ちに背き、頑なにご譲位そのものに反対し、「譲位」という言葉すら目の敵(かたき)にする八木秀次氏。彼には宮澤憲法学への忠誠心“以前”の問題がある。 彼は、ご療養が長く続く皇太子妃雅子殿下を巡り、読むに堪えない暴言を書き散らしている。 例えばこんな調子だ。「ここであえて議論を起こしたい。皇太子殿下の離婚問題についてである。…私は…皇太子殿下ご夫妻...
「譲位」は憲法違反?
「譲位」は憲法違反?
高森明勅
高森明勅 負け犬の遠吠えか。 或いは、引かれ者の小唄か。 ご譲位に終始、反対していた麗澤大学教授の八木秀次氏。奇妙な文章を書いていると、人から教えられた。 『正論』2月号に載った短文だ。 一応、立ち読みしてみた。 要は、保守系が好んで「譲位」という言葉を使っているのは、憲法上、妥当ではないから、「退位」で統一せよ、という主張。譲位は、天皇のご意思を前提とした言葉で、国...
坂口安吾を知っているか?
坂口安吾を知っているか?
高森明勅
高森明勅 漫画家の小林よしのり氏が来年1月下旬に刊行される新作のタイトルが『新堕落論』だという。 そこで、ふと思った。 私が日頃、接する若者らのうち、果たして何人くらいが坂口安吾の「堕落論」(初出は昭和21年4月)を実際に読んでいるだろうか、と。まさか坂口安吾という名前すら知らないとは思わない。 しかし、「堕落論」という作品自体は知らない可能性も、なきにしもあらず。意...