- 新しい順
- 古い順
- タイル表示
- リスト表示
憲法9条「二段階」改正はあり得ない
高森明勅
安倍首相が唱える9条「加憲」。 それを保守系の人らが弁護して、こんな事を言う。 まず自衛隊加憲の憲法改正をやる。その次に“本丸”の9条2項に斬り込む、と。 「二段階」改憲論だ。 しかし、それはあり得ない。 何故か。 自衛隊加憲を成し遂げた時点で、9条改正へのモチベーションはたちまち失われてしまうからだ。他国はいざ知らず、わが国では憲法改正に膨大なエネルギーを...
明治天皇の皇女の紀行文
高森明勅
わが知友で都立高校教諭の中澤伸弘兄。 古書店で、標題も執筆者名もない、仮綴じの和本を手に入れた。文章は毛筆で書かれ、所々に朱で加筆訂正がなされている。和紙に「高輪御殿」と刷られているのが、彼の目を惹いた。高輪御殿は、暫く昭和天皇の弟宮の高松宮殿下がお住まいになった。今上陛下のご譲位後は、今の東宮(とうぐう)御所が仙洞(せんとう)御所として改築されるまで、ここ...
ある政治学者の支離滅裂
高森明勅
政治学者で一橋大学名誉教授の渡辺治氏。 護憲派の牙城「9条の会」の事務局を担当しているらしい。共産党の議長だった不破哲三氏との共著もある。インタビュー記事を見ると、言っている事が支離滅裂。 「天皇自身の意思による慰霊の旅、被災地訪問なども加わり、公的行為が際限なく肥大化した。憲法の想定していなかった天皇像が膨らんだ」→憲法は天皇を「日本国民統合の象徴」と規定...
昭和天皇の「おことば」
高森明勅
1月7日は昭和天皇のご命日(崩御相当日)。昭和64年1月7日。 冬の雨が静かに降る中、街角には弔旗が並んで掲げられていた。昨日の出来事のように思い出す。 今日、宮中(皇霊殿)では「昭和天皇祭」(大祭)が厳かに斎行される(武蔵野陵でも祭典)。昭和天皇をお偲(しの)びする縁(よすが)として、「おことば」をいくつか、謹んで顧みる。 「たとい連合国が天皇統治を認めて...
若手憲法学者の「天皇」再評価
高森明勅
民主主義が自由や権利の保障と対立する場面があり得る。 更に、ポピュリズムが無謀な戦争を招き寄せる局面で、民主主義は全く無力だ。 そうした危険性に予めどう備えるか。自由主義的民主主義や立憲主義的民主主義には、明確にこうした問題意識がある。 同じ問題意識から、君主制の役割についても再評価できるだろう。憲法学者で北海道大学准教授の西村裕一氏の天皇についての言及は、...
頂点にいるものが不正直であれば
高森明勅
ハーバード大学名誉教授で日本史を専攻しているアルバート・クレイグ氏。明治維新の主役は木戸孝允と大久保利通だったと評価する。これついて、「この2人が圧倒的に優れている点は何でしょうか」との問いに、次のように答えている。 「2人とも正直だったことです。頂点にいるものが不正直であれば、どんな国でも腐敗してしまうものです」と。 「頂点にいるものが不正直であれば…」 ...
個人的に嬉しかった事
高森明勅
今年、個人的に嬉しかった事を1つ。 ある件を巡り、珍しく長男と意見が食い違った。 「皆さんの判断は間違っていると思いますよ」と。 「いや、皆さんではない。私が断固として異議を唱えたら違う方向もあり得たはずだ。しかし、私も賛成したのだから、もし間違っているとしたら、それは私自身だ」 「なら、お父さんが間違えましたね」ーといったメールでのやり取り。 で、後日。某...
八木秀次氏の離婚・廃太子論
高森明勅
天皇陛下のお気持ちに背き、頑なにご譲位そのものに反対し、「譲位」という言葉すら目の敵(かたき)にする八木秀次氏。彼には宮澤憲法学への忠誠心“以前”の問題がある。 彼は、ご療養が長く続く皇太子妃雅子殿下を巡り、読むに堪えない暴言を書き散らしている。 例えばこんな調子だ。「ここであえて議論を起こしたい。皇太子殿下の離婚問題についてである。…私は…皇太子殿下ご夫妻...
「譲位」は憲法違反?
高森明勅
負け犬の遠吠えか。 或いは、引かれ者の小唄か。 ご譲位に終始、反対していた麗澤大学教授の八木秀次氏。奇妙な文章を書いていると、人から教えられた。 『正論』2月号に載った短文だ。 一応、立ち読みしてみた。 要は、保守系が好んで「譲位」という言葉を使っているのは、憲法上、妥当ではないから、「退位」で統一せよ、という主張。譲位は、天皇のご意思を前提とした言葉で、国...
坂口安吾を知っているか?
高森明勅
漫画家の小林よしのり氏が来年1月下旬に刊行される新作のタイトルが『新堕落論』だという。 そこで、ふと思った。 私が日頃、接する若者らのうち、果たして何人くらいが坂口安吾の「堕落論」(初出は昭和21年4月)を実際に読んでいるだろうか、と。まさか坂口安吾という名前すら知らないとは思わない。 しかし、「堕落論」という作品自体は知らない可能性も、なきにしもあらず。意...