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中村直勝が手放した明正天皇直筆の「書状」
高森明勅
古文書学の権威、中村直勝(1890〜1976)の『歴史の発見』(昭和37年刊)を読んでいて、次のような件りにぶつかった。 大正半ばの頃、京都祇園町にある古書・古文書を扱うG荘で、「かうぎよく上人」に宛てた第109代明正天皇の直筆の書状が 十何通かまとまって売りに出されたことがあった。 明正天皇って誰?という人が多いかも知れない。 私の『日本の10大天皇』でも...
中学生からの取材依頼
高森明勅
今まで様々な取材依頼を受けて来た。 だが、こんなのは初めて。 中学生からの取材依頼だ。 5月23日午後3時から取材に応じて欲しい、と。 おいおい、こっちの都合も確かめずに、いきなり日時指定の取材申し込みかよ、と驚いた。 それでも、この取材は受けることにした。 何しろ取材したいと言って来たテーマが、他ならぬ「女性宮家」。 何故、見も知らぬ中学生が、「女性宮家」...
異例の両陛下崩御時「ご火葬」報道
高森明勅
何となくやり過ごした人もいるかも知れない。 しかし、少し感度の鋭い人は、きっと驚いたに違いない。 両陛下の崩御時の「ご火葬」を巡る報道のことだ。 一般の国民の場合でも、生前にその人の葬儀や葬り方のことなどを あれこれ取り沙汰するのは、論外の無礼だろう。 まして日本国及び日本国民統合の「象徴」という尊貴かつ神聖な お立場にいらっしゃる天皇陛下について、 従来の...
女性でも「血統がつながる」最初の事例
高森明勅
先に政府の「女系」の定義のおかしさを指摘した。 その時、皇室の血筋の女性から生まれた最古の事例は第11代垂仁天皇、と書いた。 だがそれ以前に、第7代孝霊天皇が、既に第5代孝昭天皇の孫にあたる女性から生まれている。 この天皇こそ、女性によっても天皇と「血統がつながる」最初の例だった。 これによって、先に述べた私の論旨は、さらに補強される。 しかし、史料の見落と...
政府の「女系」の定義はヘン!
高森明勅
3月12日の参議院予算委員会でのやり取りで、藤村修官房長官が「男系・女系」について問われ、シドロモドロになったと、一部マスコミが鬼の首でも取ったかのように報じた。しかし、現在の「男系・女系」についての政府の解釈自体に、重大な問題が孕まれていることに気付いている人は、少ないようだ。官房長官が後ろの席の官僚からメモを渡されて、やっと答弁した内容は「天皇と男性のみ...
西田昌司議員の「勇気と誠実」に敬意を表する
高森明勅
かねて西田昌司参議院議員の活躍には、注目して来た。この度、知人から教えられて、「男系の維持と女性宮家の容認」についての西田先生の「ビデオレター」の動画を、拝見した。その中で、西田氏は「女性宮家」創設を認めるべきことを、明言しておられる。ゴー宣道場にお招きした稲田議員や鷲尾議員が、明確な回答を慎重に避けられた点だ。更に、氏は踏み込んで、旧宮家系の国民男子が「結...
『産経』2月29日「男系」記事への素朴な疑問
高森明勅
事態を分かりやすくするために、こんなケースを想像して欲しい。 ある人物が、特定のテーマについて、多くの人に取材をしたと、自ら報告したとする。 但し、いつ、誰に、どのような質問をし、相手からどのような回答を得たかは一切、明らかに出来ない、と言う。 ただ「一連の対話のなかで私が思ったことを述べることにしたい」と。 ご本人が何を「思った」としても、勿論それは自由だ...
旧皇族の一族が「旧皇族」?
高森明勅
『正論』4月号掲載の竹田恒泰氏の原稿に、さりげなく「昭和22年に皇籍離脱した旧11宮家の一族を『旧皇族』ということにする」と書かれている。これには、仰天した。改めて言うまでもなく、「旧」には「もと」「以前の状態」という意味があって、旧皇族とは「以前に皇族だったけれど今は皇族の身分を離れている人」のこと。通常の語法に従う限り、それ以外にはあり得ない。だから当然...
陛下のご快癒を祈り奉る
高森明勅
2月19日、隙間を見つけて皇居坂下門に設けられた記帳所に赴き、謹んでお見舞い記帳をさせて頂いた。 最寄り駅から向かう途中、「観光客が随分いるなぁ」と感じていたが、その殆どの人が、記帳所を目指していたのには驚いた。 皇居外苑では、行きも帰りも人が途切れない。 被災地からも、多くの方が来られていたようだ。 老若男女様々な人が多数、来ていた。 一見して「右翼」とい...
福島からのお歳暮、岩手からの講演依頼
高森明勅
福島の知人から例年通り、お歳暮を送って頂いた。 ただそれだけのことが、心に沁みる。 今年は伊達鶏のローストチキンと伊達鶏のとりそばセット。 ローストチキンはまだ冷凍庫に入れたまま。 だから、見るからに美味しそうだが今のところ味は分からない。 でも、早速頂いたとりそばは実に美味しかった。 Sさん、お仕事も日々の生活も様々に大変な中、本当にありがとうございます。...
女性宮家は「難問」がいっぱい?
高森明勅
女性宮家の創設に向けて、ようやく事態が動こうとしている。 このことを最も喜んでおられるのはどなたか、改めて述べるまでもなかろう。 ところが、女性宮家の創設には「難問」が山積していると言い募る向きがある。 どんなに難問があろうと、皇室の将来のためには断固として乗り越えて行く、というのではない。 体を張って、全ての責任を背負う覚悟で、正面切って反対ーーはしないけ...
不退転の決意を求める
高森明勅
野田首相は12月1日の記者会見で、「女性宮家」の創設について「緊急性の高い課題」であるとの認識を、はっきりと示した。 かねて皇室典範の改正を急ぐべきことを主張してきた1人として、率直に評価したい。 苟も皇室の永い将来にわたる存続を願うならば、「女性宮家」の創設は何としても実現すべき喫緊の課題である。 しかも、内親王方のご年齢を考えれば、既に時間的余裕は余りな...
「定年制」という言葉は不適切
高森明勅
秋篠宮殿下のお誕生日にあたっての記者会見の報道で、多くのマスコミは、殿下が天皇「定年制」が必要との認識を示されたとして、大きく報じた。 だが、これには首を傾げる。 報道されたのは、ご会見の関連質問の中で、 記者が「ある程度の年齢になれば(天皇陛下の)ご公務というのを減らして、国事行為に専念していただく」 という制度を「定年制」と呼んだ上で、そういったものが必...
皇室典範の改正は何故急ぐべきか?
高森明勅
皇室典範の改正は「じっくり」時間をかけて検討すれば良いという能天気な意見がある。 とんでもない話だ。 典範改正を急ぐべき理由はいくつも挙げることが出来る。 だが、我々が最も肝に銘ずべきなのは、当然ながら天皇陛下ご自身こそ、皇位継承の将来について、誰よりも深く案じておられるという事実だ。 少しでも早く、ご高齢で病余の陛下にご安心頂く必要がある。 そのためには、...
「万策」はどうなった?
高森明勅
これまで私は、側室不在の歴史上、前例のない局面において、 皇統の末永い存続を願うならば、我が国の伝統に即し、かつ国民多数の共感も得られる、 男系と女系の双方によって皇統を維持出来る方向への皇室典範の改正が不可避である、 と主張して来た。 これに対し、僅かの男系「絶対」論者は別にして(彼らは相手にするには及ばないだろう)、 男系「優先」論者たちは、「それは万策...
陛下のご不例と新嘗祭
高森明勅
陛下のご入院が長引いている。 軽度の肺炎と報じられた。 震災に伴うご過労が原因なのは明らかだ。 ご高齢でしかもご病気の治療を続けておられる陛下は、ただでさえ苛酷なご公務を抱えておられる。 それに加えて、震災後は3月から5月にかけて7週連続で被災地にお入りになった。 更に自主的な停電等々、心身へのご負担は想像を絶したものがあったはずだ。 むしろこれまで新たなご...
『続・田中卓著作集』の刊行を慶ぶ
高森明勅
国書刊行会から学界待望の『続・田中卓著作集』(全6巻)の刊行が始まる。 田中先生の古代史研究における業績が精緻で卓越している事実は、専門家の間では夙によく知られている。 戦後の歴史学がいびつなものになっていく中で、歴史学の正道を守る為に敢然と戦いを挑んで顕著な成果を挙げてこられたのも、 知る人ぞ知るところであろう。 だが、昨今の出版事情から考えて、こうした企...
「日本」の成立年代を探る新史料
高森明勅
我が国の国名は、古代のある時期に「倭」から「日本」に変わり、それが現在まで維持されて来た。 ということは、我々の国は、端的に言って、古代国家がそのまま発展を遂げて現代に至った、世界でも類例を見ない国と捉える事が出来る。 しかも、倭国と日本国の間に、国家としての断絶は、認められない。 明らかに連続している。 よほど古くから続いて来た国なのだ。 ちなみに、倭国の...