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主権なき日本の岩国訴訟
高森明勅
民主主義の前提は主権の確立。 でも、憲法9条がある限り日本は主権を持ち得ない。 と、先に指摘した。その事実を改めて証明したのが、今回の岩国騒音訴訟での山口地裁岩国支部の判決。騒音被害を認め、賠償を認めながら、肝心の米軍機の飛行差し止めは認めなかった。 理由は「国の支配の及ばない第3者の行為だから」と。どう考えても奇妙な理屈。 だがこれは以前、最高裁が下した判...
憲法9条を巡る「現実」
高森明勅
記念すべき第50回ゴー宣道場。 テーマは憲法9条。ゲストは前回に続き、護憲派の松竹伸幸氏。堀部師範も久しぶりに参加して下さった。 道場では、なるべく松竹氏に発言の機会を多く提供すべきだ、と考えていた。それから堀部師範にも。 又、今回のようなテーマだからこそ、切通さんや泉美さん、それから司会の笹さんにも活発に発言して頂くことが、道場の成功には大切だと。 勿論、...
保守系知識人の「安倍談話」への見方
高森明勅
遅蒔きながら、安倍談話に対する保守系知識人の発言を、いくつか。 新しい歴史教科書をつくる会の会長だった西尾幹二氏。「安倍談話は、せっかく世界史全体を見据えて、冒頭で19世紀からの西欧植民地支配の歴史に言及されていたのに、第2段落で、視野は一遍に日本一国の話になり、しかも経済の問題が全てだというような語り方になってしまう。日本が世界の秩序への無法な『挑戦者』と...
「憲法を守る」とは?
高森明勅
憲法に違反しても逮捕されない。 罰金も払わされない。直接のペナルティは何もなし。 だから、憲法をきちんと守るのは、実は決して容易ではない。 まず、その認識が必要。国家権力に携わる人々が、“憲法は必ず守らねばならない”という、明確な自覚を持っていなければならない。その組織自体にも、そうした「文化」が定着していなければならない。 そして国民には、国家権力に憲法を...
憲法にとって大切なこと
高森明勅
ずいぶん前。憲法学者の小森義峯先生の学統に繋がる若手研究者の1人が、こんなことを言っていた。 「憲法は中身より、それがどうやって定められたかが大切」と。 彼いわく、「憲法は、他の法律と違って、違反してもペナルティがない。国内に、“憲法をしっかり守る”という確固たるコンセンサスがなければ、ただの紙切れに過ぎない。だから、“誰”によって、“どのように”制定された...
安倍首相、憲法改正は先送り?
高森明勅
安保法の成立。 実は、わが国の国防力自体の強化には直接、繋がらない。 野党が「戦争法案」と批判したので、中身も知らず、逆に何か立派な防衛体制が整うと勘違いした人もいるとか。 だが、そうではない。 相変わらず、自衛隊は有事に迅速果敢な対応を取れないし、ポジティブリストでしか動けない。 「切れ目」だらけ。と言うより、辛うじて所々ツギハギしている状態。そんな自国も...
憲法改正は遠のいた?
高森明勅
憲法学者?の八木秀次氏がこんなことを言っている。 「先の安保法案採決によって、憲法改正は遠のいたとも言える。理由の1つ目は、安保法で、しばらくは実情に合わせた運用ができるから。 2つ目は、今回の採決で、国民の護憲意識が誤った方向に高まってしまったから。国民が本当に国防の重要性を理解するタイミングまで、憲法改正は難しいだろう」と。 「憲法改正は必須」などと啖呵...
古本屋で売っている最古の古書
高森明勅
家内が「面白い番組がネットに挙がってるよ」と教えてくれた。こんなことは、珍しい。 所ジョージの番組で、日本一の古本の街、神保町で売っている最古の古書を探す企画だという。私が興味を持ちそうだと思ったのだろう。 即座に、「最古と言えば、百万塔陀羅尼(ひゃくまんとうだらに)かな。奈良時代に印刷された物だけど、数多く作られたから、今もたまに古本屋が売りに出す。 以前...
集団的自衛権「歓迎」の中身
高森明勅
国民の間に、他国の反応を過剰に気にする傾向があるのではないか。 賛同、歓迎されると「良い」ことをした気になったり、逆に警戒、非難されると「悪い」ことをした気になったり。アメリカが歓迎して、中国が非難したら、保守系なら前者を、リベラル系なら後者を、それぞれ重視するとか。 いずれにせよ、愚劣。 自信の無さの現れ以外の何ものでもない。 各国は皆、自分たちにとって、...
反戦感情による護憲が対米依存を深める
高森明勅
安保法反対運動の盛り上がりを主に支えたのは、感情的な戦争忌避。 だから、移ろい易い。 しかも、専ら反戦感情に立脚した護憲論は、現実的な国防構想、防衛政策を打ち出せない。 よって当然、国民多数の安定した支持を得ることは出来ない。 その結果、アメリカが軍事的に当てにならなくなればなるほど、アメリカへの依存を深めるという、倒錯した異常な傾向に歯止めをかけることは、...
米軍の国際法違反、戦争犯罪に頬被り
高森明勅
米軍と自衛隊の一体化を進める安保法成立。国会審議での一場面が脳裏に浮かぶ。野党議員が米軍の過去の国際法違反、戦争犯罪の具体例を挙げて安倍首相に迫った場面だ。アメリカを含む他国が国際法違反、戦争犯罪にあたる行為に及ぶ場合、自衛隊は決して支援、協力することはない。 安倍首相はそう明言した。 それに対し、イラク戦争時の写真を掲げ、具体的に日時や被害状況等を示して、...
「存立危機事態」という呪文
高森明勅
今回の安保法制のキーワードは「存立危機事態」。この言葉に同法制のトリックがよく表れている。 定義はこうだ。 「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追及の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」。 我が国が戦後、初めて集団的自衛権の行使容認に踏み込むにあたり、それを憲法の制約内に「...
「護憲」安保法案反対運動の限界
高森明勅
中国の軍事パレード、北朝鮮の核施設再稼働表明、ロシア機の領空侵犯など。このところ相次ぐこうした出来事について、陰謀論者ならどんな感想を述べるか。 「3国は安保関連法案を応援している」とか言いそうだ。 無論、そんな馬鹿なことはない。 だが世論への影響という点で、結果的にそうした側面を持つのは、否定できない。もっとはっきりした軍事的危機が浮上すれば、法案反対への...