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自衛隊の「合憲化」?
高森明勅
普通、他人に自分の文章とか談話を読ませるのに、「熟読」とは言わない。 横柄な言い方になるからだ。読売新聞に安倍首相のインタビュー記事が載ったらしい。笹幸恵さんの引用によると、安倍氏はそこでこんな発言をしているようだ。 「私の世代が何をなし得るかと考えれば、自衛隊を合憲化することが使命ではないかと思う」と。 えっ!? 思わず絶句してしまう。 “熟読”しないで言...
「敗戦国」体制の“保守”
高森明勅
わが国の憲法の場合、それだけ単独で存在しているのではない。 「戦勝国」史観→国連憲章“敵国”条項→日本国憲法前文→同9条2項→(同76条2項→)日米安保条約→同地位協定→「敗戦国」体制。 これらが全てリンクしている。だから憲法改正というのは、その全体を視野に収めて、それらといかに対峙するかが真の課題。 ところが、安倍首相の「自衛隊」条文(9条3項)追加論は、...
「次の元号」への手続き
高森明勅
先日、そこまで言って委員会の収録で「次の元号は何がいいか」という設問があった。 八木秀次氏などが、自分が勝手に考えた元号案を、得々と披露していた。 しかし、元号は天皇がお決めになるのが伝統。 と言うより、「本質」だろう。 だから、私は事前のアンケートで「新しい天皇陛下のご聴許を得た元号であるべきだ」と回答しておいた。 “ご聴許”とは、聞き入れて、それで良いと...
改憲にトドメを刺す改憲
高森明勅
安倍首相の「自衛隊」条文追加論。これは改憲への動きにトドメを刺す改憲だ。改憲派は想像してみると良い。もし安倍氏の提案が実現したらどうなるか。自衛隊自体は今のまま。 「戦力」未満の状態が続く。だからアメリカへの依存もそのまま。 しかし、憲法9条を「改正」したという、意味のない達成感だけは生まれる。 「これでやっと自衛隊は晴れて合憲の“実力”組織になれた」という...
西部邁氏の「保守」論
高森明勅
『AERA』(5月1日・8日号)で評論家の西部邁氏が「保守」の思想について語っている。 「保守を、現状維持と解釈してはいけません。現状とは過去から残された慣習の体系ですが、保守はそれを無条件に受け入れはしない。本当の保守は慣習という実体の中に歴史の英知のようなものを探りあて、それを今に生かそうとします。それが、どの変化を受け入れ、拒否するかの基準になる」 「...
安倍首相は最大の護憲派
高森明勅
安倍首相が憲法改正を呼び掛けた。 と思ったら、焦点の9条「護持」論だった。 9条の1項、2項は維持し、ただ「自衛隊」について条文を追加するという。 これは最強の護憲論だ。そもそも何故、憲法の改正が必要なのか。 日本の「自立」の為に他ならない。 その為には「一人前」の軍隊を持つ必要がある。 「戦力」未満の自衛隊のままでは、いつまでもアメリカの軍事力に依存せざる...
1500年ぶりの「危機」
高森明勅
今、皇室が直面している皇統断絶の危機は、歳月にして実に1500年ぶり、歴代天皇の代数にして100代の間、かつて例を見なかった危機だ。 にも拘らず、その深刻さが自覚されていないようだ。 まだ“先送り”が許されると錯覚している知識人もいる。2つの大切な点を見落としてはならない。 1つは、皇族が皇籍を離れてひと度、国民の仲間入りをしたら、皇室と国民の区別を曖昧にし...
NHKスペシャル舞台裏
高森明勅
4月29日のNHKスペシャル拡大版。皇室にコアな関心を持つ人たちではなく、その“外側”の少し関心を持ち掛けている人たちを、主なターゲットにした。なかなか良い狙い目だ。 このタイミングなら、番組の工夫次第ではそうした人たちにも、うまく目を向けて貰うことが出来るはずだ。 だから、親切な解説コーナーを設け、視聴者の声も織り込んだ。パネリストの発言も原則、1人1回に...
前近代も高齢の天皇がいっぱい?
高森明勅
日本が長寿社会の段階に入り、天皇の譲位が欠かせない。という当たり前の意見に、こんな反論を述べる人がいた。 「前近代にも高齢の天皇はたくさんいた!」と。余りにも無知過ぎる。 前近代には譲位こそが普通の在り方。だから、高齢の「天皇」がおられたのではない。 高齢の「上皇」がおられたのだ。 具体的に、年齢の確かな7世紀以降の天皇について、その実態はどうだったか。まず...
特例法案「骨子」の舞台裏
高森明勅
特例法案の骨子。 当初案の酷さに比べて、国会の合意に近い線に押し戻されている。皇室会議の関与はむしろ前進した。 その舞台裏を朝日新聞(4月28日付朝刊)が報じている。 「(自民党政調会長)茂木(敏充)氏と(民進党皇位検討委員会事務局長)馬渕(澄夫)氏、公明の北側一雄副代表の3氏が顔をそろえた水面下の協議は(4月)19日、20日、21日と続いた。民進党の野田佳...
特例法案「骨子」について
高森明勅
特例法案の骨子全文が明らかになった。 法案名は「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案」。 「陛下」を外して、“一代限りの例外的措置”というニュアンスを弱めた。中身には以下の文言が。 「天皇陛下が…これらの御活動を天皇として自ら続けられることが困難になることを“深く案じておられる”」 「国民は…天皇陛下の“お気持ち”を理解し、これに共感している」 「“皇嗣”で...