高森明勅

安倍首相は最大の護憲派

高森明勅

2017年 5月 3日

安倍首相が憲法改正を呼び掛けた。

と思ったら、焦点の9条「護持」論だった。

9条の1項、2項は維持し、
ただ「自衛隊」について条文を追加するという。

これは最強の護憲論だ。

そもそも何故、憲法の改正が必要なのか。

日本の「自立」の為に他ならない。

その為には「一人前」の軍隊を持つ必要がある。

「戦力」未満の自衛隊のままでは、
いつまでもアメリカの軍事力に依存せざるを得ない。
国家の存立そのものをアメリカに依存している限り、
対米従属を脱却するのは不可能。
永遠に日本の自立はあり得ない。
だから、9条(特に2項)を改正して、
一人前の「軍隊」
を保持できるようにする。
それが憲法改正の核心だ。

ところが、肝心の9条(特に2項)に一切、
手をつけず、「戦力」
未満の自衛隊を追認する規定を、
新しく追加するという(
9条3項か)。

もしそれが実現したら、
9条(特に2項)改正へのモチベーションは
決定的に削がれてしまうに違いない。

最強最悪の護憲論だ。

しかも、
そのことに気付かない人々の方が遥かに多いだろう。

真剣に憲法改正を願う人々は、
この最も悪質な「護憲」
の策動に
真正面から対決しなければならない。