高森明勅

国民の慎み

高森明勅

2017年 4月 28日

ご譲位を巡る昨年以来の様々な言説の中で、
印象に残っているのが、
憲法学者の木村草太氏の以下のような発言だ。

8月の天皇陛下のお言葉を聞いて、
国民統合の象徴として、
人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うこと』
を大切にしてきたという
高い倫理観に、尊敬の念を覚えた。
しかし同時に、不安も感じた。
国民の側から、
後代の天皇にそうした高い倫理観を
期待するようなことになれば、
天皇にとってあまりにも過大な負担となる。
象徴天皇を維持したいのであれば、
政治家は天皇の政治利用をしてはならない。
国民も過度な期待を押し付けてはいけない。
そうした慎みが不可欠だろう」

これは大切な指摘だ。