高森明勅

戦後レジーム的「天皇」像との対決

高森明勅

2017年 4月 22日

ご譲位を巡る最も本質的な対立。

それは、2つの天皇像の対立だった。

「国民に寄り添う」天皇と「国民と無縁な」天皇の対立。

前者は「天皇の伝統的在り方」に立脚した天皇像であり、
後者は憲法の天皇条項を最大限、
抑圧的に歪曲解釈した天皇像だ。

それは正に「戦後レジーム」的な天皇像と言うべきだろう。

今、政府が用意している、
国会の合意すら軽視した特例法骨子案は、
その戦後レジーム的天皇像を懸命に“保守”しようと目論んでいる。

政府は本当は譲位自体を認めたくなかった。

しかし天皇陛下の強いお気持ちと、
それを後押しする圧倒的多数の国民の共感により、
しぶしぶ譲位を認めざるを得なかった。

そこで政府は、この度のご譲位をどこまでも
“一代限り”の“例外的措置”
にとどめ、
戦後レジームの枠内に押し込めようとしている。

私らが直面しているのは、
戦後レジーム的天皇像との対決だ。