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個と公
高森明勅
高森明勅 人は確立した主体性を備え、その「個」が強固であるほど、明確な覚悟と責任感を持って「公」を支えることができる。そうでなければ私心、私情に足を取られ、ややもすれば衆愚に埋没してしまう。この度の天皇陛下のお言葉ほど、その事実を改めて痛感させた例は他にないだろう。陛下がいかに強靭かつ堅固な主体性を備えておられるか。一億を超える国民と真正面から対峙して、それを圧倒し去...
政府は先ず天皇陛下のご内意を伺え
高森明勅
高森明勅 天皇陛下は8月8日のお言葉の中で、このようにおっしゃっている。 「天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら…」と。これは何を意味するか。 憲法の制約で、公開の場では具体的な制度論には言及できないものの、陛下は「天皇もまた高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか」について、ご自身で「具体的」な制度改正のプランも既にお持ちなのに違い...
もう皇室典範はいらないのか?
高森明勅
高森明勅 天皇陛下が望んで“おられない”一代限りの譲位を無理やり実現する為に、皇室典範に“抜け穴”を作って憲法違反を表面上だけ免れ、実質的には特別立法で対処しようという、姑息極まる動きがある。だが譲位は言うまでもなく、皇位継承の2つの類型の1つ。それだけの「重み」がある。 にも拘らず、もっぱら「皇位継承」のルールを法的に確定する為に“こそ”制定されている典範を事実上、...
12月23日の天皇誕生日は近く終わる
高森明勅
高森明勅 天皇陛下は8月8日のお言葉で「2年後には、平成30年を迎えます」とおっしゃった。 これが、ご譲位実現の“ゴール”を考える場合、大切な目安になるはず。つまり同年迄には、恙無く陛下のご譲位が行われるべきだ。陛下のご念願通りに事態が順調に推移すれば、12月23日の天皇誕生日は今年か来年が最後になろう。ご譲位の後は、当たり前ながら皇太子殿下のお誕生日の「2月23日」...
昭和天皇の被災地ご訪問
高森明勅
高森明勅 私はこれまで、天皇ご自身が直接、被災地にお入りになって被災者を励まされるのは、平成3年の雲仙普賢岳噴火災害の時に、今上陛下が皇后陛下とご一緒に現地に入られたのが最初、と繰り返し述べて来た。 ところが先日、ある方から「昭和22年9月のキャサリン台風による被害の際に、昭和天皇ご自身が被災地にお入りになり、被災者を激励された事実があります」と教えて戴いた。 早速、...
いくつかのメディア露出
高森明勅
高森明勅 このところ、テレビ出演やメディアへの露出がいくつかある。7月13日夜に天皇陛下が「生前退位」を望んでおられるとの報道があって以来。 改めて振り返ると…。同15日にBS日テレの「深層NEWS」に生出演したのが皮切り。 19日には共同通信のインタビュー。26日、拙文を掲載した『月刊Hanada』9月号発売。8月8日、“玉音放送”当日は第2回関西ゴー宣道場の翌日で...
男系限定の条件
高森明勅
高森明勅 以前、男系限定論者が次のような論を立てていた。 「125代の歴代天皇に北朝の天皇を加え、10代の女性天皇と3代の配偶者を持たなかった天皇を差し引いた117代の内…正妻が皇子を産まなかった天皇は、僅か31代しか例がない。確率にすると26、5パーセントということになる」 「26、5パーセントは約4分の1に当たるため、歴史的に一系統当たり4世代に1回の割合で嫡系継...
平成の国民、最後の責務
高森明勅
高森明勅 「朝まで生テレビ」の中で、天皇陛下のお気持ちにお応えする為に、「二段階」で対処しよう、という声があった。 先ずは、“一代限り”の特別立法で可及的速やかに陛下ご自身のご譲位を可能にする。その次に、じっくり時間をかけて皇室典範の包括的な改正を検討する、と。冗談ではない。 これまでの経緯を思い出せ。悠仁親王ご誕生で何ら危機を脱した訳でもないのに、皇室典範改正の気運...
天皇陛下がお考えの転換のスケール
高森明勅
高森明勅 天皇陛下はご自身で新しい時代を切り拓こうとされている。そのスケールの巨大さに人々は殆ど気が付いていない。皇室の歴史を大観すると見えて来るものがある。先に次のような時代区分を行った。 (1)先帝崩御だけによる皇位継承の時代。(2)それに譲位が加わる時代(むしろ譲位こそ標準的な形へ)。(3)再び先帝崩御だけによる皇位継承に戻った時代。そして、(4)再びそれに譲位...
「旧宮家」という幻影
高森明勅
高森明勅 「朝まで生テレビ」では竹田恒泰氏の「赤ちゃんを養子に」発言でも驚いた。 いわゆる旧宮家系の国民男子の中で、未婚の成年で候補者たり得る人物はいるのか問うたら、「生まれてくる赤ちゃんを養子にすれば良い。無限に候補者はいる。既婚者も夫婦一緒に養子にすれば良い」という趣旨の答え。視聴者にも仰天した人が多くいたようだ。 もはや皇室を「聖域」と仰ぐ感性そのものが失われて...
憲法学者、木村草太氏の特別立法批判
高森明勅
高森明勅 『朝日新聞』(8月25日付朝刊)に憲法学者で首都大学東京教授の木村草太氏の論説が載っている。こんな内容。 「憲法は生前退位を禁じているわけではなく、皇室典範という法律を改正すれば足りる。生前退位のために改憲が必要との主張は誤解だ」 「生前退位の制度が政治利用されることは絶対に防がなくてはならない。そのためには、生前退位のための明確な基準や厳格な手続きを設ける...
竹田恒泰氏の特措法プラン
高森明勅
高森明勅 「朝まで生テレビ」に出演。 出演者の竹田恒泰氏の発言に驚いた。天皇陛下のお言葉に対し、頭から真摯に向き合おうとしない。 「これからも皇室がどのような時代にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ…」という遠い将来を見通されたお言葉。そのご真意は余りにも明らか...
『WiLL』またぞろ「不敬」のオンパレード
高森明勅
高森明勅 『WiLL』10月号が「天皇陛下の『お気持ち』」特集。執筆陣は東京大学名誉教授・平川祐弘、同じく東京大学名誉教授・伊藤隆、外交評論家・加瀬英明ほかの諸氏。 一読、余りの無知、不遜、不敬に呆れ返る。 平川氏いわく、「もしも陛下の私的なご発言通りご退位となると、(皇室典範の)改正を急がねばならないが、生前退位を認めるとなれば、まず政治的利用が心配される。…私は現...
政府見解でも「譲位に憲法改正は必要なし」
高森明勅
高森明勅 先に日本テレビの奇妙な報道(8月22日)を紹介した。同じ報道について、憲法学者で九州大学法学部教授の南野森氏が取り上げておられる。「生前退位を(制度的に)可能とするためには、皇室典範の改正では足りず、憲法改正が必要となるという考え方…は、憲法学界の通説的見解とも、日本政府がこれまで示してきた見解(政府見解)とも異なる」と。私はこれまで、譲位の制度化に憲法改正...
「旧宮家系国民男子」への想像力
高森明勅
高森明勅 旧宮家系国民男子に“そのまま”新しく皇籍を取得するのを認めるというプランが、一部で語られている。 だが言う迄もなく、人間は将棋のコマではない。 このプランは一体、何を意味するか。言う迄もなく、本人とその家族にとっては、人生そのものの激変を意味する。 これまで打ち込んで来た仕事は、そのまま続ける訳にはいかくなる。 住み慣れた住まいも変わる。家族を含め、これまで...
譲位の制度化は違憲、一代限りなら大丈夫?
高森明勅
高森明勅 奇妙な報道に接した。 内閣法制局などが、譲位の制度化には憲法改正が必要と考えているとか。天皇のご意思で譲位すれば「国民の総意に基く」(第1条)という憲法の規定に抵触すると。 その一方で、一代限りの特例法なら大丈夫だとか(8月22日、日本テレビ)。いやいや、それなら一代限りでも同じ。何ツジツマの合わない事を言っているのか。 しかも特例法だと、これまで繰り返し指...
「務めを果たす」能動的天皇の“威力”
高森明勅
高森明勅 ご譲位を望まれる天皇陛下のお気持ちに対し、圧倒的多数の国民がそのお気持ちを叶えて差し上げたいと願っている。 先に公表されたANNの世論調査(8月13日・14日に実施)では、89%の賛成に対し、反対は僅か5%という驚異的な結果だった。 今度はNNNの調査結果(8月19日から21日に実施)が公表された。こちらは更に驚くべき数字。賛成94、3%に対し、反対は2、8...
旧皇族長老の「本心」
高森明勅
高森明勅 皇室の存続を図る為に、旧宮家系国民男子がそのまま新しく皇籍を取得できる道を開こう、との意見がある。 そんな事をすれば、皇室と国民の区別が曖昧になりかねない。 それに、これまでの取材では当事者は皆、辞退の意向を示している。 現在、知られている未婚の成年男子は3人だけ。1人は秋篠宮殿下より年上。 だから、まず対象外。もう1人は大麻所持で逮捕された。残るは東久邇家...
「個人として」とは?
高森明勅
高森明勅 天皇陛下のご譲位への「玉音放送」。憲法に抵触しないよう細心の注意が払われていた。その初めの方に、「個人として」と断られていたのも、そう。このようにお断りになったからと言って、あのお言葉を「極めて私的なご見解に過ぎない」などと解するのは、全く当たらない。 陛下ご自身、“国のため、国民のため、私のあとを歩む皇族のため”という趣旨のご発言をされているではないか。 ...
譲位と首相
高森明勅
高森明勅 譲位を巡り、識者もメディアも、初歩的な無知が目立つ。 例えば、「譲位に首相が関われば“政治利用”に繋がる恐れがある」とか。様々なメディアに決まり文句のように出てくる。 呆れてしまう。首相が単独で譲位に関わる場面など、全く想定できない。そうした事案に対処すべく、皇室典範によって既に皇室会議という機関が設けられているからだ。 皇位継承順序の変更や摂政の設置という...