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共同通信が各地の新聞に配信した皇位継承問題を巡る対立見解
高森明勅
先頃、共同通信の「奏論」シリーズで「皇位継承問題」 というテーマを取り上げ、加盟各社に配信された。 憲法学者の百地章氏と私へのインタビューを担当記者が まとめた記事だ。 それを掲載した地方紙の一部が送られて来た。 岩手日報(9月25日付)、日本海新聞(9月27日付)、 静岡新聞(9月30日付)、中国新聞(10月1日付)、 秋田さきがけ(10月4日付)、神戸新...
岸田首相が所信表明演説で皇族数確保策「立法府の総意」訴え
高森明勅
岸田文雄首相が10月23日、国会における所信表明演説の中で 「皇族数の確保のための具体的方策」について、 「『立法府』の総意が早期に取りまとめられるよう、国会における 積極的な議論が行われることを期待します」と呼びかけた。 これは、先の自民党の役員人事で萩生田光一政調会長を再任する際に、 「皇位継承策の作業を急がなければならないという問題意識」を 明確に伝え...
「身分制の飛び地」説と「エスプリ·ドゥ·コール」論の矛盾
高森明勅
現在の憲法学界で最も権威ある学者の1人とされているらしい長谷部恭男氏。 天皇·皇室と「人権」の関係を巡り、近年、通説化しつつあるように見える 「身分制の飛び地」説を唱えておられる。以下の通り。 「日本国憲法の作り出した政治体制は、平等な個人の創出を貫徹せず、 世襲の天皇制(憲法2条)という身分制の『飛び地』を残した。 残したことの是非はともかく、現に憲法がそ...
皇太子と傍系の皇嗣の違いを簡単に整理する
高森明勅
令和の皇室には今のところ「皇太子(直系の皇嗣)」が ご不在のままだ。 勿論、傍系の「皇嗣」ならおられる。 秋篠宮殿下が現在、皇嗣でいらっしゃる。 しかし、皇太子と傍系の皇嗣を“全く同一”と見ることはできない。 勿論、共通点もある。それはどちらも皇位継承順位が “第1位”であられること。これは見逃せない。 しかし、皇太子が次代の天皇に即位されることが 確定した...
天皇·皇室については「あえて性差別を貫く方がよい」?
高森明勅
憲法の体系書として評価が高い野中俊彦·中村睦男·高橋和之·高見勝利 『憲法 Ⅰ【第4版】』(有斐閣)に、以下のような記述がある (執筆担当者は高橋氏)。 「(男女は)平等に扱うのが好ましいにしても、 そもそも憲法が平等原則の例外として世襲を認めている以上、 (皇位継承資格を男系男子に限定する)ここでの性差別を 違憲とまではいえないであろう。 身分制が日本国憲...
天皇·皇室と「人権」を巡る憲法学での有力な考え方とは?
高森明勅
現在、憲法の体系書として最も信頼されている文献の1つは、 渡辺康行·宍戸常寿·松本和彦·工藤達朗『憲法Ⅰ 基本権 第2版』 (令和5年、日本評論社)、同『憲法Ⅱ 総論·統治』(令和2年、同)だろう。 天皇·皇室と「人権」の関係について、前者にも記述はあるが、 後者を参照すべきことが指示されている(37ページ)。 よって後者の関連箇所を、いささか長めの引用にな...
「女性天皇」排除を合憲として来た憲法学通説の“思考停止”
高森明勅
皇室典範の現在のルールでは「女性天皇」の可能性を 一切排除している(第1条)。 これについて、これまで憲法第14条が禁止する“性別による差別” に該当するのではないか、という疑問が提出されて来た。 この疑問に対する政府の説明は以下の通り。 「第14条(法の下の平等)と第2条(皇位の世襲)との関係は、 第2条は第14条の特別規定というふうにわれわれは考えるもの...
岸田首相の皇位継承問題への前向きな姿勢は果たして本気か?
高森明勅
皇位継承問題に対する政治の取り組みが長く停滞して来た。 それがようやく動き出すのか、どうか。 岸田文雄首相は今年の2月に「先送りの許されない課題」と訴えた。 政府が(白紙回答+欠陥だらけの提案を盛り込んだ) 有識者会議報告書の検討を国会に委ねたのは、昨年1月のこと。 それ以来、国会で1年以上も何ら進展が見られなかった。 それに業を煮やした格好だ。 これに対し...
岸田首相「旧宮家案を含めて女系天皇以外の方策」の真意とは
高森明勅
皇位継承問題がようやく政治の場で動き始めるかも知れない。 この問題に対する岸田文雄首相の考え方はどのようなものか。 岸田氏は令和3年9月9日のツィター(現X)で 次のように述べていたという(産経新聞9月28日付)。 「皇室の歴史や伝統、そして国民の皇室に対する 見方などを考えれば、女系天皇は考えるべきではありません。 旧宮家の男系男子が皇籍に復帰する案も含め...
旧宮家系子孫の皇籍取得を巡る男系限定論者のいくつかの発言
高森明勅
先日、共同通信「奏論」シリーズの取材を受けた。 加盟各社に配信済みで、既に記事を掲載した新聞もあるだろう。 インタビューでは「旧宮家…出身の男性の子孫の皇室復帰は 選択肢になりますか」(「子孫(!)」なので「皇室“復帰”」 は不正確)という質問も受けた。 これへの私の回答の一部だけを紹介すれば、次の通り。 「実際、皇籍取得を受け入れる旧宮家子孫は どれだけい...
一夫一婦制が成立したのは「育児」の必要性によるという仮説
高森明勅
一夫一婦制の源流は遠く約400〜500万年前にまで遡るという 興味深い仮説が示されている(牛窪恵氏『恋愛結婚の終焉』 光文社新書)。 「オス(夫)がみずからの遺伝子を数多く 後世に残そうとするなら…あちこちのメスのご機嫌を取って 繁殖行為に持ち込み、精子をバラ撒くほうが効率的なはずです。 現実にも、チンパンジーは『乱婚』、ゴリラは『一夫多妻』の...
世襲王権の成立が6世紀ではなく5世紀に遡る具体的根拠とは?
高森明勅
現在の歴史学界では、わが国における世襲王権の成立は 継体天皇以降(つまり6世紀)、というのが通説のように見える。 しかし、果たしてそうか。 5世紀に遡るという有力な異論もある。 例えば『日本書紀』研究の先頭を走る日本古代史学者で 皇学館大学教授の遠藤慶太氏。 『平安勅撰史書研究』『東アジアの日本書紀』『六国史』 などの著書がおありだ。 同氏が、以下のように述...
“女系”を介して「万世一系」という古代史研究の通説的見解
高森明勅
8月26日公開のブログ「『日本書紀』で唯一“嫡子”とされた 欽明天皇の血筋とは?」において、以下のような指摘をした。 「欽明天皇は(父親でなく!)母親の血筋=女系を介して それまでの直系の皇統に繋がる方だった。 …欽明天皇は傍系の父親(継体天皇)の血筋も引いているが、 皇位継承に際しては直系だった母親(手白香皇女)の 血筋を引くことこそが、その“第一条件”だ...
皇居勤労奉仕団員へのご会釈に両陛下と敬宮殿下もお出まし!
高森明勅
戦争が「総力戦」の段階に突入して以来、 敗戦はストレートにその国の君主制の廃止に繋がるようになった。 第一次大戦では敗戦国だったドイツ、オーストリアや、戦争処理を誤った ロシアなどの君主制が滅んだ。 第二次大戦でもイタリア、ユーゴスラビア、ハンガリー、 ルーマニア、ブルガリアなどの君主制が消滅している。 ドイツの政治学者レーベンシュタインは次のように指摘する...
暮しの中の「縦軸」「横軸」、居間の神棚とベランダの日の丸
高森明勅
わが家の居間には神棚がある。 と言っても、特別にあつらえた物ではない。 家を建てる時に注文して、居間を囲む三方の壁に、 書斎から溢れる本を収める本棚を、予め取り付けて貰っていた。 その棚の東に向かう(つまり西側の)一隅を空けて、 神棚に充てたに過ぎない。 中央に伊勢の神宮、向かって右側には地元の神社、 左側に靖国神社など何社か個人的に崇敬する神社のお札を祀る...
皇位継承問題の解決を「皇室会議」に求めるのは見当違い
高森明勅
目の前の皇室の危機を打開する政治の動きが 見えない状態が続いている。 これに対して、「皇室会議」に事態打開の突破口を 見出そうとする意見が現れた(金子宗徳氏『国体文化』9月号)。 「三権の長が対等に、それも天皇陛下の御稜威 (みいつ=社会的影響力)を仰いで集ふ場、 すなはち皇室会議において解決するしかない」と。 膠着状態が続く現状への焦燥感は共感できるし、 ...
男系限定論に立脚しつつ旧宮家プランに反対する声が挙がった
高森明勅
皇位継承問題について、男系限定派の中から 新しい動きが出て来たようだ(『国体文化』令和5年9月号)。 それは「女系(母系)継承を非とし、男系(父系)継承を 護持すべきであるが、伏見宮系旧皇族末裔への皇籍付与には 様々な問題があり、現行制度を当面は維持するのが最善」 とする意見らしい。 「その代表的な論者は村田春樹氏であらう。 村田氏は《保守の会》機関誌『保守...
「女系天皇」を否定する具体的、現実的な理由とは一体何か?
高森明勅
先に、皇位継承資格を「男系男子」に限定する理由について、 今や「どうでもよい」(竹田恒泰氏、平成22年)、 「どだい説明が出来ない」(谷口智彦氏、令和5年)という 思考停止に行き着いていることを指摘した(8月17日公開ブログ)。 その裏返しになるが、そもそも女系天皇を否定する理由とは何か? これについては、以下のような指摘がある(堀新氏『13歳からの 天皇制...
婚姻による皇籍取得ができなかった時代から可能な時代へ
高森明勅
皇室における一夫一婦制と少子化という現実を前提とする限り、 女性天皇や女性宮家を可能とする皇室典範の改正は不可欠だ。 その場合、当然ながらご婚姻相手の男性は、女性が皇族との 婚姻によって皇族の身分を取得されるのと同じように、 皇族になられる制度を用意する必要がある。 しかし、それに抵抗する人らがいる。 これまで「(皇族以外の身分から)皇族になった男子は1人も...
『日本書紀』で唯一「嫡子」とされた欽明天皇の血筋とは?
高森明勅
わが国で最初の正史は『日本書紀』。 その中で唯一「嫡子」と表記されたのが、第29代·欽明天皇だった。 欽明天皇は第26代·継体天皇のお子様だった。 しかし、欽明天皇には兄として第27代·安閑天皇と 第28代·宣化天皇がおられた(その他にも即位しなかった 兄弟がおられる)。 にも拘らず、『書紀』はそれらの方々とは区別して、 欽明天皇を「嫡子」とした。これは何故...