高森明勅

最も確実かつ穏やかな皇室消滅のシナリオ

高森明勅

2014年 10月 25日
産経新聞によれば、政府は閣議決定によって
民間人の元皇族に皇室活動を分担して頂く方針だという。

その為の称号も公的な立場も法律上の根拠もなし。

ならば、ご本人が「ご遠慮します」と言えば、それで終わり。

従って、それを僅かでも実効性あるものにしようとすれば、
目に見えざる“無形の強制”が働く危険を排除できない。

そんなことで皇室が尊敬されるのか。

振り返ってみると、安倍政権が最初にやったのは
「女性宮家」の検討を白紙に戻すこと。

それで今度は、女性宮家の白紙化でご結婚と共に民間人になる女性皇族に、
引き続き仕事だけ押し付けるやり方を考えついた。

しかしそれでは、仮に皇室活動に携わる民間人が増えても、
皇族は減る一方。

最後に、今の皇族で残るのは悠仁親王殿下お1人だけ。

それは火を見るより明らか。

じゃあいっそ(皇族でなくても皇室活動が出来るなら)
皇室活動は皆、民間人に任せようとならないか。

そうなれば、だったらそもそも皇室自体も要らない―という結論になろう。

皇族がいなくなり、国民も皇室を要らないと考えるようになれば、
一体どうなるか。

わが国における安定した国民統合の究極の保障者である皇室は、
極めて穏やかに静かに消え失せる。

安倍政権はそれを本気で望んでいるのか?