高森明勅

憲法改正の歴史的パースペクティブ

高森明勅

2017年 11月 14日

憲法改正の主眼は日本が「第3」の独立を果たす事。

“第1”の独立は推古天皇の時代。

シナ皇帝を頂点とする国際秩序=冊封(さくほう)体制からの離脱。

「天皇」という称号の登場がその指標だった事は、
既に繰り返し指摘してきた。

“第2”の独立は明治44年。

幕末に押し付けられた不平等条約の
最終的な改正(
関税自主権の確立)を成し遂げた。

で、現在はどうか。

憲法と日米安保条約、日米地位協定などによって、
主権は大幅に制約されたまま。

日米安保条約と日米地位協定が、
日本の立憲主義と民主制を十全に機能させない、
桎梏(しっこく)
となっている事実は、かねて左派が強く
糾弾して来た。

それは正しい。

しかし、それらを抜本的に改めるには、
憲法9条(2項「戦力不保持」規定)の改正が欠かせない。

一方、右派はこれまで憲法9条改正を主張しながら、
日米安保条約と日米地位協定の深刻な問題性を見落としがちだった

しかし、それを維持したままでは、憲法改正の大きな目的である
日本の“真の”主権回復(
第3の独立)は、果たせない。

私たちが目指すべきなのは、
日米安保条約と日米地位協定の改正を視野に入れ、
その前提となるべき憲法改正だろう。

ところが、安倍首相が目指している自衛隊加憲はどうか。

9条(2項)を“護持”する事で、
日米安保条約と日米地位協定をいつまでも
(アメリカが望む限り)
固定化する。

対米依存=従属(戦後レジーム)を
“維持”する為の憲法改正以外の何ものでもない。

わが国の第3の独立を願うか。

それともそれを不可能にし、
永久にアメリカの属国のままでいる事を望むか。

憲法改正を巡る最も本質的な対立点はここにある。