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女性天皇を排除しても憲法違反にならないという見解は無理
高森明勅
9月6日は秋篠宮家のご長男、悠仁親王殿下の18歳のお誕生日。 殿下はご成年をお迎えになった。 国民として心からお慶び申し上げる。 憲法第14条は「性別」による差別を名指しで禁止している。 しかし、皇室には第2条の「世襲」規定が優先的に 適用されるので、女性天皇を排除しても 憲法違反にはならない。 …というのが、これまでの政府見解であり、学界の通説でもある。 ...
シナ文明への傾斜が強かった朝鮮半島でも北朝鮮で非男系化?
高森明勅
北朝鮮の金正恩総書記の後継者について、 以下のような情報がある(手嶋龍一氏·瀬下政行氏『公安調査庁秘録』) 「手嶋『朝鮮半島は男系優先の儒教色が 濃い社会だと言われてきました。女性(金総書記の娘“ジュエ”)が 政権の後継者になることは考えられますか』 … 瀬下『…朝鮮半島では男系継承の伝統が根強いことから、 女性が権力を継承する可能性については懐疑的な見方も...
今なら民衆に当たる公民、百姓を「おおみたから」と訓む理由
高森明勅
古代史料を見ると、現在の一般民衆に当たる人々に対して 「公民」「百姓」「人民」などの語が用いられている。 公民や人民は、近代の翻訳語と誤解している人が いるかも知れないが、そうではない。 公民は、天皇の詔などの定型句としても、出でくる。 百姓は、百官がすべての官人=役人を指すように、 全ての姓を持つ者=非隷属民、つまり公民とほぼ重なる。 公民概念と百姓概念の...
愛子天皇が現れても皇位の継承は安定化しないという誤解
高森明勅
将来、敬宮殿下がめでたく即位されるかも知れない。 しかし、それによって安定的な皇位継承に繋がる訳ではない、 という意見があるようだ。 この意見には、初歩的な誤解がある。 敬宮殿下が即位される前提となるはずなのは、 今の皇室典範で初めて採用された側室が不在で 一夫一婦制なのに「男系男子」限定という、 歴史上かつて例を見ない 窮屈な皇位継承ルールの見直しだ。 そ...
危機は深刻ながら解決は簡単という皇位継承問題の真実
高森明勅
皇位継承問題を巡る初歩的な事実を再確認しておこう。 ○皇位継承の危機は目の前に迫っている。 何しろ、次の世代の皇位継承資格者は 悠仁親王殿下ただお1方だけ。 しかも、そのご結婚相手は必ず男子を生まなければ 皇室そのものを滅ぼしてしまう、という想像を絶する 重圧に直面する。 これはご結婚自体を至難にするハードルの高さだ。 万が一今のルールのまま悠仁殿下がご独身...
要注意、現在の皇位継承順序の絶対視は政府の思うツボ!
高森明勅
安定的な皇位継承への道を阻む最大の障害は何か? 現在の皇位継承順序を絶対視して、これを変更しない 範囲で対応する、という考え方だ。 この考え方を前提にすると、是正されるべき皇位継承ルールの 構造的な欠陥には手がつけられず、目先だけの 皇族数確保策しか出てこない。 しかし残念ながら、皇位継承順序を変更することは 秋篠宮家に非礼である、お気の毒で申し訳ない、 ...
現在の皇位継承順序を見直さない限り安定的な皇位継承は無理
高森明勅
皇位継承問題がやっと政治の場で動き始めたかと思いきや、 いきなり視界不良状態に。 衆参正副議長の呼び掛けで全党派が一堂に会した 協議が毎週持たれ、先の国会の会期末をメドに 合意を図るはずが、僅か2回で頓挫。 その後は議長らが個別に各党派の意見を聴取していた。 それが一区切りついて、去る8月7日に衆参議長らが 中間報告の記者会見を開いた。 案の定、個別意見聴取...
女性天皇が長年にわたり「禁止」されていたという珍説
高森明勅
わが国の歴史の特色の1つは、 男尊女卑の意識が根強い東アジアにありながら、 女性天皇が多く登場した事実だろう。 しかし、奈良時代の称徳天皇より後、 江戸時代の明正天皇まで女性天皇は現れていない。 そのことから、その間の1000年近くは「禁止」されていた、 と短絡する乱暴な議論がある(「SPA!」7月30日·8月6日合併号)。 しかし、「継嗣令」に「女帝」の規...
「男系男子」への固執が皇室を滅ぼす3つの理由
高森明勅
皇位継承資格の「男系男子」限定にこだわる傾きが、 永田町周辺など国内の一部に未だに残っているのは残念だ。 しかし、男系男子への固執が皇室の存続そのものを危うくする。 その事実がもっと広く、もっと切実に認識される必要がある。 何故「男系男子」固執が皇室を滅ぼすのか。 差し当たり3の理由を挙げることができる。 その1。 改めて言うまでもなく、一夫一婦制で少子化が...
皇位継承問題は最優先で取り組むべき喫緊の課題ではないのか
高森明勅
れいわ新選組は皇位継承問題について、 以下の見解示している(「れいわ新選組としての 『全体会議』への意見表明」5月17日)。 「天皇制のあり方や皇位継承の問題について 国内で世論が二分されている中で、それに目を奪われて、 本当に喫緊の課題である大多数の国民が望む 経済政策への議論がおざなりになることを問題視します」 「(皇位継承問題について)今国会で、 立法...
「姫宮」を称える令和4年歌会始での信子妃殿下のお歌
高森明勅
敬宮殿下がご成年を迎えられた翌年の歌会始で 寛仁親王妃信子殿下は次のようなお歌を詠まれた。 この時のお題は「窓」。 成人を 姫宮むかへ 通学に かよふ車窓の 姿まぶしむ これに宮内庁は以下の解説を付けている。 「寛仁親王妃信子殿下には、愛子内親王殿下を、 ご幼少時より深い敬意と愛情を持って見守ってこられました。 昨年、愛子内親王殿下におかれましてはご成年を迎...
敬宮殿下が4歳の頃のお優しさとご聡明さ
高森明勅
私には4歳の孫娘がいる。 それに結び付けるのは畏れ多いが、 敬宮殿下の4歳の頃を振り返ってみたい。 平成18年の天皇陛下(当時は皇太子)の お誕生日に際しての記者会見から。 「愛子も4歳を迎え、今年の4月からは 学習院幼稚園に通うことになりました。… 最近は、いろはガルタや神経衰弱などをよくやっており、 正月には餅つきやカルタ、凧揚げ、コマ回しなど 昨年に引...
見逃されがちな3月11日の黙祷を巡る皇太子と傍系皇嗣の違い
高森明勅
天皇陛下は毎年、「6つの日」に黙祷を捧げて下さっている。 戦争にちなむ沖縄での組織的な戦闘が 終結した日(6月23日)、 広島·長崎への原爆投下の日(8月6日·9日) 終戦記念日(同月15日)と、 災害にちなむ阪神淡路大震災(平成7年)が起きた 「1月7日」と東日本大震災(平成23年)が起きた 「3月11日」だ。 この日には、天皇陛下だけでなく、 皇后陛下、...
保守系人士の本音「やっぱり男系限定は無理ですよね」
高森明勅
少し前の出来事を紹介する。 講演で地方に呼ばれた時の経験だ。 保守系の数百人規模の集まりがホテルで行われ、そこで話をした。 講演の後、レセプションにも参加したら、そのまま、 運営関係者の懇親会にも招かれた。 皆さんが私の話を熱心に聴いて下さっていたことが伝わり、嬉しい。 更に、運営の中核を担った限られたメンバー数名だけの 二次会(三次会?)へ。 この頃になる...
もし「万世一系」を維持したいのであれば選ぶべき道は1つ
高森明勅
「万世一系」とは何か。 皇位が、「皇統」によって、過去·現在·未来に亘り、 揺るぎなく継承されるべきである、 との(事実を踏まえた)規範だろう。 そこで問われるべきは、皇統の概念だ。 しかし、これもシンプルに「天皇のご血統」と定義できる。 それが男系に限定されないことは、(伊藤博文名義の 『義解』説はともあれ)憲法及び皇室典範の 条文からも明ら...
旧宮家養子縁組案の対象とされている人達が非嫡系という問題
高森明勅
多くの問題点が指摘されている 旧宮家養子縁組プランについて、これまで見逃されがちな 論点も追加しておく。 有識者会議のヒアリングで憲法学者で 京都大学名誉教授の大石眞氏が指摘された問題点だ (令和3年5月10日提出の説明資料)。 「現行法が採用する強い嫡出制原理との 整合性という点から考えると、『皇統に属する男系の男子』が すべてそのまま対象者·適格者になる...
旧宮家系男子が法律だけで皇籍取得する案を推す「神社新報」
高森明勅
「神社新報」(6月24日号)の論説に旧宮家プランを巡り、 以下のような主張が展開されていた。 「さまざまな条件を考慮すれば、養子の実現も決して容易ではない。 …いざという時のために第三案(旧宮家系国民男性を法律だけで 皇族にするプラン)も同時に立法化しておくべきでは なからうか。 対象者となられる旧宮家の方々には、 その覚悟を持って生活していただくことが必要...
皇位継承における「正当性」と「正統性」を巡る常識的な考察
高森明勅
皇位継承の「正統性」は男系だけが支える、 という言説を見掛ける。果たしてそうか。 それを吟味する場合、正統性だけでなく、 「正当性」という視点も欠かせない。 先ず「正当性」と「正統性」の区別から。 正当性とは道理にかなって正しいこと。 こちらは理性に照らして“正しい”と納得できる。 一方、正統性は手順や方法、形式において正しいこと。 こちらは感情として“正し...
天皇陛下「いっそこのまま時間が止まってくれたら」
高森明勅
私の手元に天皇陛下のご著書 『テムズとともに 英国の二年間』が2冊ある。 1冊は、平成5年に学習院教養新書として刊行されたもので、 「創立125周年記念」という文字も印刷されている。 発行元は学習院総務部広報課。 もう1冊は、前者の新装復刊で、令和5年に 紀伊國屋書店から刊行された。 「学習院創立150周年記念」と印刷されている。 著者名はどちらも「徳仁親王...
皇族でも国民でもない「準皇族」は憲法が禁止する貴族
高森明勅
時事通信が以下のニュースを報じた(6月19日)。 「国民民主党の玉木雄一郎代表は19日、 衆参両院議長と参院議長公邸で面会し、 皇位の安定継承に関する意見聴取を受けた。 女性皇族が結婚後も皇室に残る場合、 夫や子どもに『準皇族』という新たな身分を 設ける案を示した」 この記事に「皇位の安定継承」とあるのは、 実態として正確には「皇族数の確保」だろう。 それは...