小林よしのり

数字だけが真の評価なり

小林よしのり

日々の出来事
2014年 12月 23日


誰でも自分を評価してくれたり、絶賛してくれれば、

嬉しくて舞い上がるのだろう。

だがわしはその辺の感覚が人とはかなり違うと思う。

 

それは少年ジャンプ、マガジン、サンデー、キング、

コロコロコミック、ヤングジャンプ、その他の漫画誌から

SPA!からSAPIOまで、かなり多くの読者傾向の違う

雑誌で連載してきて、人気投票と格闘してきたからだ。

 

トップになったこともビリになったこともあり、

下位を低迷していれば、忽ち打ち切りになる。

打ち切りになったら、その日から従業員を食わせて

いけなくなる。

 

無収入で給料をいつまで払い続けられるか?

解散するか?解散したら、今までの技術の積み重ねを

捨てなければならない。

新連載を獲得するか?勝てる作品を創れるか?

スタッフを遊ばせておいて、貯金を切り崩していく

期間はどのくらいになるか?

そういう究極の選択に突き当たる。

 

わしは人の評価を言葉より「数字」で信じるようになった。

本当に自分が評価されているかどうかは「数字」で出てくる。

人気投票が上位に来るか、あるいは単行本が売れる、

これだけがわしへの本当の評価だ。

 

言葉で評価されれば、人間だから嬉しいと思う。

だがそれ以上に警戒心や猜疑心が働いて、売れなきゃ話に

ならんとブレーキをかける。

 

自分の身近にいるファンがどんなに絶賛しても、わしが

調子に乗ることはないし、真に受けることもない。

褒め言葉で従業員を食わせていくことはできないのだ。