小林よしのり

アベノミクスはすでに死んでいる

小林よしのり

2014年 11月 20日


アベノミクスが失敗してるのは歴然としている。

リフレ派の想定では、円安誘導で、輸出が増える、

その収益で賃金が上がるという循環だったはずだ。

 

ところがすでに輸出向け企業は、国外に生産拠点を移して、

国外で人を雇って、国外市場で販売しているから、

日本国内からの輸出が増えるはずがない。

この時点でアベノミクスは完全に失敗している。

だからトリクルダウンはないと、わしは最初から言って

いたのだ。

 

大企業は、輸出は増えなくても、為替差益で利益が出ている

から、これに目を付けた安倍首相が直々に経団連を呼び出して、

賃金を上げろと要求する。

この行為がもう資本主義の健全な姿ではない。

政治家が企業のトップを呼び出して、賃金を上げろと迫る

なんて、統制経済である。

アベノミクスが成功していれば、権力による経営への介入を

待たずに、企業は収益を社員に分配しているはずだ。

 

いくら安倍首相がアベノミクスは成功と言い張ったところで、

円安にしたのに企業の輸出量が増えない時点でアウト!

 

円安は実質賃金が下がる一方の庶民の暮らしを直撃してくる。

今後は円安の暗黒面が、中小零細企業や、庶民の暮らしを

もっときつく締め上げるだろう。

来年初めくらいは中小零細企業の倒産が相次ぐのは間違いない。

 

安倍首相は高校生の就職内定率が上がっているなどと言って

るが、それは団塊の世代以上が退職し始め、人手不足になって

いることと、低賃金の非正規雇用が増えたからだろう。

正社員は減っているが、今後は解雇自由・解雇の金銭解決など

が制度化されるから、もっと貧困層が拡大するだろう。

そんな社会を国民は望むのだろうか?