高森明勅

男系「新宮家」創設案の問題点(上)

高森明勅

2014年 8月 23日

百地章氏の「男系子孫による新宮家創設を」との提案が産経新聞
8月23日付)に掲載されている。

真剣なご提案であろうから、
これについても、私なりの感想を述べておきたい。

申し上げるべきことは3点。

以下、順次述べて行く。

(1)この提案が、仮にそのまま100%実現しても、
残念ながら皇統の危機を打開する解決策にはならない。
ただ、
問題を先送りするに過ぎない。

何故なら、側室不在という構造的要因が存在する以上、
「新宮家」
も男系に限定していては、
いずれ継嗣を確保出来なくなって、
行き詰まるのは避けられない
からだ。

このことについては、竹田恒泰氏が過去の実例に照らして、
以下のように発言している。

「4乃至(ないし)5の宮家を常に確保し続けることによって、
側室なくとも男系継承は確率論的に可能である」と。

だが側室不在では、前提となる
4乃至5の宮家を常に確保し続けること」自体、不可能。

それは皇室の現状を見ても明らか。

よって、竹田氏の指摘は事実上、側室なくして男系継承は
不可能であることを主張したに等しい。

百地氏は旧宮家系国民男子の4人の候補を挙げて、
例えばこのような人々の中から…」と述べておられる。

しかし、スタートの時点で新宮家が4以下なら、
男系継承は「確率論的に」
ますます至難。

百地氏は同提案によって、
皇室の将来は盤石となり明るい展望が開ける」と、
バラ色の未来図を描かれた。

しかし遺憾ながら、そうした楽観は許されないと考えるべきだ。 
 (つづく)