高森明勅

「明治天皇の玄孫」を“営業の看板”に使う不敬

高森明勅

2014年 5月 4日

慶應義塾大学名誉教授の小林節氏は、
ご本人が竹田恒泰氏を同大学の講師に推挙したのを、
「恥じて」
おられるという。

「慶応の講師」という肩書きが“おちゃらけタレント”の
「営業の看板」に使われたからだ。

あまりにもみだらな話」にこの肩書きが使われていて、
「ぞっと」
したと言う。

しかし、竹田氏が「慶応の講師」以上に
営業の看板”にして来た肩書きがある。

1つは「旧皇族」。

「旧―」というのは、改めて言う迄もなく“もとの―”という意味。

だから旧皇族とは、もと皇族だった人物のこと。

しかし、彼は父の代から国民だ。

彼本人も勿論、かつて1分、1秒も皇族だったことはない。

にも拘らず、これまで平然と「旧皇族」を名乗って来た。

法律上、人を錯誤に陥れる行為を詐欺と言う。

ならば、彼は紛れもなく詐欺を働き続けて来たことになる。

しかもこの詐欺は、皇室の権威を利用した、極めて悪質なもの。

皇室を貶め、侮辱するにも程がある。

更に、もう1つの肩書きは「明治天皇の玄孫」。

これは、明治天皇の皇女、昌子内親王が竹田宮恒久王に
嫁がれたことによる。

こちらは一応、事実に基づく。

但し明治天皇の皇女は他にも、北白川宮家・朝香宮家・
久邇宮家にそれぞれ嫁いでおられる。

したがって、明治天皇の曾孫や玄孫という人物は、実は何人もいる。

だが、既に70年近くも前に皇籍を離れているので、
竹田氏以外は誰もそんなことを“営業の看板”にしないだけだ。

しかも、内親王の血筋だから勿論、女系だ。

竹田氏は、最も頑固な男系絶対主義者だったはず。

にも拘らず“営業の看板”に利用出来るなら、
女系でも「明治天皇の玄孫」
という肩書きを使いまくる。

だが明治天皇の玄孫を名乗るのであれば、
僅かでも日本人らしい嗜みがあるなら、
皇室にご迷惑が掛からないよう極力、身を慎むのが当然だろう。

間違っても“おちゃらけタレント”
のような振る舞いは出来ないはずだ。

竹田氏の場合、余りにも皇室を愚弄し、
冒涜し過ぎているのではないか。