高森明勅

世界「強制」遺産、教科書に波及の懸念

高森明勅

2015年 7月 26日

教科書問題が語られて久しい。

だが、少なくとも中学歴史教科書は、
たとえ僅かずつでも改善が見られる。

その改善に「新しい歴史教科書をつくる会」
取り組みが果たして来た役割は決して小さくない。

例えば、朝鮮人の戦時徴用。

大月短期大学名誉教授の小山常実氏の調査によると、
つくる会が結成される前は、全7社の教科書で徴用を強制と
扱っていたという(『
大月短大論集』33号)。

ところが、今や激減。

確信犯的な学び舎(今回が初検定)

清水書院の2社だけになったようだ。

まことに結構なこと。

だが今回の世界遺産登録で、
日本政府は愚かにも登録を最優先して、
徴用について「強制性」
を認めるという、
韓国に対する決定的な譲歩を行った。

しかも、“犠牲者を記憶に留める措置”の実施まで、約束した。

これによって、教科書に再び徴用を強制とする記述が復活し、
更に拡大する危険性も懸念される。

何とも愚劣極まることを仕出かしたものだ。