高森明勅

ギリシャ危機の“分かりやすい”原因

高森明勅

2015年 7月 10日

国家財政が事実上のデフォルト(債務不履行)に陥ったギリシャ。

今後、国際債権団(EU、欧州中央銀行、IMF)への要求拒否を
ギリシャに許せば、スペイン、イタリア、ポルトガルなどの
重債務国も後に続く可能性がある。

そうなると、ユーロ圏そのものの解体にまで繋がりかねない。

世界のGDPの20%を占めるユーロ圏がもし瓦解すれば、
世界経済にどれほど甚大な被害を与えるか。

ギリシャ問題は軽視できない。

ギリシャは何故こんな事態に陥ったか。

実はとても分かりやすい。

外部からじゃんじゃん借金しながら、それを経済発展の為よりも、
多すぎる公務員の給与や、高過ぎる年金に当てて来たから。

分かり安すぎて悲しくなるほど。

労働人口の約25%(4人に1人!)もいる公務員が、
民間の1.5倍(!)もの給与を受け取って、
年金は現役時の96%(!)。

休暇シーズンは何故か給与額が2倍(!)に跳ね上がり、
年に13カ月分や14カ月分の給与が受け取れるシステムだった。

しかも、ただでさえ税収が十分でないのに、脱税が蔓延。

加えてユーロ加盟国なので、
どれだけ貿易収支が赤字でも為替レートは下落せず、
通貨安による調整機能(輸入しにくく、輸出しやすい)も働かない。

だから、赤字はひたすら拡大の一途。

また、為替レート暴落が原因で、
外部から借金が出来なくなることもなかった。

その上、資金調達に支障が出ないように、
財政赤字を隠す粉飾決算にまで手を染めていた。

ほとんど「国家失格」状態。

最大の債権国ドイツでは「ギリシャ(ユーロ)離脱」
と銘打った酒が売られ、
そのラベルには2人の男性が乾杯している
イラストが。

しかし、ギリシャのユーロ離脱で問題が解決する訳ではない。

莫大な借金は丸々残る。

ドイツだけで900億ユーロ近くがリスクに晒されているのだ。