高森明勅

「暗い井戸の中」の日々

高森明勅

2016年 5月 8日

平成17年に天皇陛下のご長女、紀宮殿下(現黒田清子様)
ご結婚に伴い、皇族の身分をお離れになる際に、
お示しになった
お言葉「36年間を振り返って」がある。

以前、その全文を「高森ウィンドウズ」で読み上げさせて戴いた
下手くそな読み方で恐縮至極だが)。

その中に、メディアによる事実無根の心ない皇后陛下へのバッシング
に言及さ
れた箇所がある。

敢えてその部分を改めて掲げさせて戴く(括弧内は引用者)。

「両陛下のお姿から学んだことは、悲しみの折にもありました。
事実に基づかない多くの批判にさらされ、平成5年御誕辰(お誕生日)
の朝、
皇后様は耐え難いお疲れとお悲しみの中で倒れられ、
言葉を失われました(失声症)。

言葉が出ないというどれほどにか辛く不安な状態の中で、
皇后様はご公務を続けられ、変わらずに人々と接しておられました。

当時のことは私にとり、まだ言葉でまとめられない思いがございます
が、振り返ると、
暗い井戸の中にいたようなあの日々のこと自体より
も、
誰を責めることなくご自分の弱さを省みられながら、ひたすらに
生きておられた皇后様のご様子が浮かび、
胸が痛みます」ー

皇室の方々が「暗い井戸の中」と悲しまれるような日々を、
もう二度と再現させてはならない。