高森明勅

「北方領土」間違ったシグナル

高森明勅

政治・経済
2019年 4月 20日

ロシア研究の専門家で新潟県立大学教授の袴田茂樹氏が、
北方領土問題について以下のように指摘されている。
「(20)16年5月、安倍首相はこれまで領土交渉は
1センチも進まなかったとして、従来の発想にとらわれない
『新アプローチ』を提案し8項目の協力提案をした。
私が最も懸念したのは、露側に間違ったシグナルを送ったことだ。
つまり、露は、対日姿勢を強硬化したので日本は譲歩したと受け取った。
論理的に考えて、日本をさらに譲歩させるには、さらに対日姿勢を強硬化すればよい、
となる。現実は、その通りに動いている」

「2つの提言をしたい。
第1に、領土交渉と経済交渉と均衡を取りながら進める
『拡大均衡』の原点に戻ることだ。
第2に、交渉事は焦る方が弱者になる。
決して焦らないことである」

まさに正論だ。

4月5日には、ロシア外務省のザハロワ報道官が
来年4月から使用される我が国の教科書に北方領土が
「日本固有の領土」と記述される事まで非難している事が報じられた。
ロシア側をここまで付け上がらせた責任は誰にあるのか。