高森明勅

韓国メディアとの懇談

高森明勅

政治・経済
2019年 9月 15日

私が「新しい歴史教科書をつくる会」の事務局長をしていた頃。
だから、今から20年ほども前の話だ。
当時、「つくる会」は韓国から強烈なバッシングを受けていた。
日本の多くのメディアや少なからぬ国民もそれに同調していた感じだった。
国内にはまだ「嫌韓」の気配など無い頃だ。
韓国が批判するなら悪いのは「つくる会」だろう、という雰囲気だった。

私は事務局長として懸命に(国内メディアは勿論)韓国メディアとも接触し、
我々の考え方を伝えようとしていた。
韓国のテレビ番組にもいくつか出演した。
韓国放送公社(KBS)や韓国文化放送(MBC)など。
そうした中で、韓国メディアのスタッフとも個人的な関係を築いていた。
ある日、彼らに誘われて、新橋の少し落ち着いた店で酒を酌み交わした
事がある。
そこで彼らの様々な本音を聞けたのは収穫だった。

「我々韓国人は強がっていても本当は日本が怖い。
だから、日本側がへりくだった姿勢を取ってくれると安心できる」とか。
私はこう述べた。
「どうか韓国の人達は本当の友人を見誤らないで欲しい。
韓国の人達の前では話を合わせ、後ろを向いて舌を出す。
そんな日本人が韓国の友人である訳がない。
我々は日本人の立場で日本人の見方、考え方を率直に表明する。
それですぐに握手が出来るとは思わない。
でも、本当の対話はそこからしか始まらないはずだ。
韓国の人達と嘘偽りなく対話しようとしている者達と、
今は“空気”を読んで上っ面だけ韓国に迎合しようとしている者達と、
一体どちらが真に韓国の友人たり得るのか。そこを見極めて欲しい」と。

あれから歳月が流れ、日本国内の空気は全く変わった。
それを手放しで肯定しようとは思わない。
しかし、その責任の少なくない部分が自分達の側にあると、
彼らは自覚しているだろうか。

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