高森明勅

「付和雷同」の重層構造

高森明勅

皇室・皇統問題
2019年 8月 26日

昭和天皇が「戦争防止の困難だった一つの原因」とされた
国民の「付和雷同性」。

あるテーマについて、皆が同じように反応する。
同じように反応しない者には強い「同調圧力」が掛かる。
或いは“圧力”を先回りして感じ取り、自ら進んで同じような
反応をしてみせる。

更に、積極的に圧力を掛ける側に無意識のうちに回る。
それらの相乗作用によって、いわゆる「空気の支配」が生まれる。
それが「付和雷同性」の正体だろう。しかし、注意しなければなら
ないことがある。
それは一見、世間の大勢(たいせい)に真っ向から逆らっているかの
ような人々が存在する場合だ。
これらの人々こそ、付和雷同性を免れた立派な“お手本”のように見える
かも知れない。
しかし、実はそうではない可能性がある。
国民の多数から孤立した人々の“グループ内”のより強烈な同調圧力に
よって、外からはそのように見えているに過ぎない場合が、しばしば
あるからだ。

その場合、これも又“もう一つ”の付和雷同と言わざるを得ない。
付和雷同性にはそうした重層構造がある事実に気づく必要がある。
そこに共通しているのは、“個人としての自覚”が希薄か、又は殆ど
喪われていることだ。

昭和天皇が「教養」と「宗教心」の大切さを強調されたのも、
個人の自覚を支えるバックボーンとして、それらが有益であると
お考えだった為だろう。

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