高森明勅

菅首相と附帯決議

高森明勅

皇室・皇統問題
2020年 9月 17日

国会の首相指名選挙で菅義偉氏が選ばれ、皇居で天皇陛下による
「任命」を受けて、正式に首相になられた。

菅新首相は、上皇陛下のご譲位を可能にした特例法が
成立する迄のプロセスと、それを後押しした国民の思いを、
誰よりも熟知しておられるはずだ。

その際の附帯決議の“重み”についても、身に沁みて
分かっておられなければおかしい。
同決議には以下のようにある。

「政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、
女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしできない
重要な課題であることに鑑み、本法(特例法)施行後速やかに…検討を行い、
その結果を、速やかに国会に報告する」と。

特例法が施行されたのは、改めて言う迄もなく、平成31年4月30日。
それから既に1年半近くが経過している。
今上(きんじょう)陛下のご即位に伴う一連の儀式も、昨年中に終わった。

秋篠宮殿下の「立皇嗣(りっこうし)の礼」は、新型コロナ禍の影響で
延期されたままであるが、元々、皇位継承に伴う儀式とは明らかに
区別すべき性格のものだ(旧皇室典範の下、皇位継承儀礼は全て
「登極〔とうきょく〕令」に一括して規定され、一方で、“立太子〔りったいし〕の礼”
はそれとは別に、「立儲〔りっちょ〕令」に定められた)。

決議に、「先延ばしできない重要な課題」故に「速やかに」
着手すべきことが求められている、「安定的な皇位継承を確保するための」検討を、
これ以上、遅らせる理由はどこにもない。
河野太郎行政改革担当大臣の訴えも記憶に新しい。
菅首相の英断に期待する。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/