小林よしのり

倉持氏「リベラルの敵はリベラルにあり」読了

小林よしのり

日々の出来事
2020年 9月 17日

倉持麟太郎氏の『リベラルの敵はリベラルにあり』を読み終えた。
これは新世代の思想書であり、ぜひ読まねばならぬ本だ。

日本人は「人治主義」になっていて、「法治主義」になっていない。
安倍首相辞任で大衆が「お疲れさま」と言い出して、支持率が
急上昇するのは、まさに「人治主義」の帰結だと思っていたが、
この本で問われているのも「法の支配」の重要性である。

正直言って読み進めるのが難しかった。
書物というのは、筆者の「言葉づかい」が自分とは全く違っている
ので、どういうニュアンスで言葉を使っているのかを把握するのに、
すごく苦労する。

わしはデジタル機器が全くダメで、パソコンの初期設定もできない
有り様だから、新世代の問題意識であるAIやITやアルゴニズム
やその他のカタカナ語がさっぱり理解できない。
自分のスマホの電話番号も、アドレスも、パソコンやカードの
暗証番号も、自宅や仕事場の住所も覚えてないわしにとって、
絶望的に難解だった章もあるので、もう一度読み直すしかない。

わしは保守思想の立場だが、日本人の不文律(ルール感覚)が
怪しくなっていることには気づいていた。
コロナ禍で、自称保守にも、自称リベラルにも、ルール感覚が
崩壊してしまった光景を見て、ますます「法の支配」の重要性を
意識するようになった。

ただし、リベラルも保守も、コロナ対策として「特措法」の改正で、
自粛を正当化しようと考えた時点で、「法の支配」の危うさも
直感しているわしがいるということは記しておく。

カウンター・デモクラシーの例として「ゴー宣道場」のことも紹介
してあるので、道場の門下生たちはぜひ読んで欲しい。
凄い本である。わしは大いに啓発された。