笹幸恵

井上武史氏のまっとうな指摘

笹幸恵

政治・経済
2020年 9月 15日
今さらですが、日曜日の読売新聞。
総裁選に合わせ「識者に聞く」という記事で、
ゴー宣道場にもかつてゲストで来ていただいた
井上武史氏(現在は関西学院大教授)が
コメントを寄せていた。
安倍政権下での憲法論議について、与野党の動きを
冷静かつかなり抑制的に総括した上で、こう述べている。

「改憲が遠のくことは国民の声が
憲法に届かなくなることだ。
国民には憲法制定権力が委ねられており、
望ましい事態ではない。
 改憲を経ずに官僚などが『憲法解釈』の
変更で憲法の意味を変えてきた結果、
解釈で何でもできるという意識が広がり、
憲法の規範性が失われている」

まったく同感。
場当たり的な解釈の変更が、憲法そのものを
軽んじることにつながっていったのだ。
立憲主義とは真逆の方向だ。
「国民には憲法制定権力が委ねられている」
という一文にも、あらためてハッとさせられる。
教条主義的な護憲でも、変えさえすればいいという改憲でもなく、
お上任せの安易さにあぐらをかくことなく、
私たちこそが主体となって考えていかなくてはならないのだ。

井上氏は、憲法9条が立憲主義のアキレス腱だと
した上で、9条以外の論点なども提示している。

安倍政権の下の改憲は絶対反対、としていた人は
議論の土俵に上がるのだろうか。
何にしても、立憲主義のあるべき姿を追求して
いかなければ、まともな国家にはなり得ない。