泉美木蘭

三橋貴明と施光恒の『女系はダメ』動画

泉美木蘭

2026年3月4日 11:27

三橋貴明と施光恒の対談「なぜ女系はダメ?明治憲法を設計した井上毅が130年前に出した結論」を見た。

「男系カルトの見本市」とも言えるもので、常識はずれも著しい内容だった。
序盤、福沢諭吉の『帝室論』などを引いて、皇室は政治の争いから切り離して守らなければならないという思想を紹介するのだが、アカデミックな話が一段落すると、いきなり、

「日本の伝統は、地球史上最大の伝統。それは男系の皇統」
「この伝統を壊そうという勢力が日本国内にいます」

など、まったく間違った「伝統」を持ち出し、皇室を力いっぱい政治的な争点として煽りはじめるので、唖然とさせられた。

福沢諭吉は、「政治は力を使って形式を強いることはできても、人々の精神まで統制することはできない。皇室は、日本人の精神を信頼と敬愛で収攬する存在であり、だからこそ政治争いに使ってはならない」ということを言っているはずなのだが、その核の部分を理解していないらしい。

三橋と施は、国民のほとんどが「男性でも女性でもいい」「愛子様に天皇になっていただきたい」と感じている事実を完全否定して、たかだか明治からの「男系男子限定」という法律を金科玉条と掲げて、「男系絶対だ」と政治争いを焚きつけるのだ。

しかも、その理屈が大間違いのオンパレード!

  

「愛子さまが民間男性と結婚すれば、それが三橋なら“三橋朝”になる」
→ならないから。
日本の皇室はそもそも姓がない。一般人の「家」や「姓」の理屈とは違う。
学術的にも「天皇・皇族は無姓で、別姓にはなりえない」という整理が行われていて、易姓革命のようなことは日本では起こらない。

  

「女系を認めると外部の男が皇室を政治利用する」
「女性差別ではなく男性差別」
「悪いことを考えるのはだいたい男性」

→こんなことを自然に考える感性そのものが男尊女卑。
女性を「無知で男性に騙されやすく、皇室を守れない存在」であるかのように頭から決めつけているのだ。その劣悪さに気づかないところが、男系カルトである。
女性皇族に対する凄まじい侮辱を、堂々と笑いながら語り合っているヤバさを自覚すべきだろう。

  

「126代ずーっと、日本人はかなり苦労して男系を続けてきた」
→神武天皇以降の「欠史8代」を知らないらしい。
歴史学で認められていない「神武天皇以来続く万系一世の男系」という呪文を信仰する、カルト信者の典型的な思考だ。

  

さらに、施が、井上毅の『謹具意見』を引いて、
「皇室が政治的に利用されることを防ぐために、外部の男子を皇室に入れないようにした」
という部分だけを紹介していくのだが、井上毅の発言で最も重要な部分はこれだろう。

この当時でも、自由民権結社が行った「女帝を立るの可否」という議論では、参加者8人のうち、男系男子論は3人だけだった
だが、最終的に決定づけたのは「男尊女卑が人民の脳髄を支配する我が国」という点なのだ。

三橋は、井上毅の意見を「読んでいない」と言っていた。
施は、かなり詳しく紹介しておきながら、この部分を隠している。

そして、三橋も施も、130年前の社会条件下で示された、井上毅の立法理由を権威づけて、令和の現代においても唯一の正解であるかのように持ち上げる。古典や学術的史料の紹介は、単に「アカデミックっぽさ」を匂わせる飾りにすぎない。
「男系男子絶対」の結論が先に立っているのだから、知的不誠実がハンパでない。

三橋と施は、最後にこんな言葉で同意している。

「悠仁親王殿下がご結婚されて、男の子が生まれたら、それで話は終わり」

皇位継承を、まだ生まれてもいない一人の男子に依存しようというこの無責任さ!
それが皇室の男性にも、結婚相手になる女性にも凄まじい重圧になってしまうからこそ、制度として考えなければならないという話をしているのに。
結局は、「結婚したら男を生め」という話になり、それを「伝統」と呼びたがる。
男尊女卑が脳髄に達した男たちの常識外れぶりが、よく伝わってくる内容だった。