高森明勅

皇室典範第1条改正案

高森明勅

皇室・皇統問題
2020年 8月 3日

側室が不在で非嫡出による皇位継承の可能性がないのであれば、
皇室の「聖域」性を守りつつ皇位の安定継承を目指す為には、
ただ1つの選択肢しかない。

明治以来の「男系男子」という(元々は側室の存在と非嫡出の継承可能性
前提とした)継承資格の限定を、はっきりと解除することだ。
その場合、皇室典範第1条はどのように改正されるべきか? 
およそ以下のようになろう。

「皇位は、皇統に属する子孫が、これを継承する」これは勿論、
憲法の「世襲」規定(第2条)の枠内での改正だ。
このように改正された場合、現在の典範第2条に規定されている
皇位継承の順序を
“そのまま”適用すれば、どうなるか? 
その第1号は「皇長子(こうちょうし、天皇の最初にお生まれになったお子様)」
となっている。
よって今の皇室では、今上(きんじょう)陛下のご長女でいらっしゃる敬宮
(としのみや、愛子内親王)殿下が皇位継承順位の第1位、つまり「皇嗣
(こうし)」
となられる。

すると、敬宮殿下は「皇嗣たる皇子」だから、「皇太子」という称号で
呼ばれることになる(第8条)。
つまり、皇位の安定継承の為にどうしても欠かせない“唯一無二”の選択肢を
選べば、
その結果として敬宮殿下は直ちに皇太子となられる。
逆に、敬宮殿下が皇太子になられない制度改正では、
(男系男子の縛りを続ける以上)
皇位の安定継承は決して望めない。

極めてシンプルな話だ(もっとも、論理的な可能性としては、
男系男子の縛りを解除しながら〔第2条も改正して〕直系主義を
変更するやり方もあり得るが、勿論、望ましくない)。

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