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立憲を規律するリベラル
倉持麟太郎
本日の読売新聞の報道によると、「立民の全員、希望の48%、公明の36%が9条関連の改正自体に反対した。」とのことである。とうとう全員になってしまった・・・ このままだと、立憲民主内の勢力図と、その支持者層の引力で、いわゆる「護憲」政党に堕してしまう。それでは立憲主義を放棄したようなもので、名前も「立憲」を外さねばならないだろう。 繰り返しになるが、憲法改正...
立憲民主に期待する「知の結集」としての改憲プラットフォームへ
倉持麟太郎
衆議院選挙が終わり、選挙結果が出た。 結果としては自公で3分の2を獲得して大勝。 失速や躍進という言葉が躍るものの、野党の最大規模が50前後で、もはや衆院の純粋野党勢力では4分の1の臨時国会の召集要求すらできない、おそらく憲法も予定していない民主主義、政党政治の構図になっていると言わざるを得ない。 もちろん、改憲については、もはや憲法改正の発議を前提とした政...
投票率向上と台風と「選挙の公正」??
倉持麟太郎
●投票率を上げるのは簡単 投票率が上がらないとか、政治への関心が盛り上がらないとかいう話がある。 たしかにそうかもしれない。観念的に、政治への無関心と、当事者意識の希薄さ、そして、主権者としての無責任さがまん延している。「積極的棄権」など愚の骨頂、このような考え方をするものは、観念の中に生きているのに観念的に自殺するようなものだ。自己論駁性に気付いてほしい。...
ネマニャが教えてくれた、自由に聴く喜びと、節度と、本当の「他者」
倉持麟太郎
ネマニャ・ラドロヴィチというヴァイオリニストの演奏を聴きながら仕事をしていた。 1985年、ベオグラードに生まれた彼は、コソヴォ内戦の戦火の中育った。 頭はアフロみたいな髪型で、痩身に髭面。はっきりって怪しい。ジプシーそのものだ。 演奏は、クラシックの常識にとらわれず、ときには楽譜や作曲家の意図もなんのその。憑りつかれたダンサーのように、髪を振り乱して、弦が...
最高裁裁判官はお好き?慣例の破壊と人事権と安倍晋三
倉持麟太郎
●民主主義と相いれない司法権というジレンマ 衆議院選挙のときに、いつも有権者にとってわけがわからないのが、最高裁判所裁判官の国民審査であろう。 そもそも、立憲主義の観点からすれば、民主的決定の是非を判断するために、非民主的機関として、専門職能のみによって構成された裁判所に独立が認められていることからすれば、裁判所に民意を入れること(裁判員?国民審査?)とは原...
自民党党内政権交代選挙に!大人な民主主義の第一歩
倉持麟太郎
いよいよ総選挙も折り返し地点を過ぎ、今週で勝負が決する。 新聞各紙は「自公で300超」、と打ち、現有をさらに上回るという、目まいがしそうな報道も飛び交う。 希望の党が自滅・失速してしまった今、もはや今回の選挙は政権選択選挙ではない。政権交代ではなく、安倍総理大臣(自民党総裁)YES or NO?選挙、自民党「党内政権交代」選挙だ。 かつての自民党のように...
選挙後の風景まで見通した投票を 国の「かたち(constitution)」を決める
倉持麟太郎
●選挙後の国会内の風景まで見通した投票を―このくにの「かたち(constitution)」を決める選挙 今回の衆議院選挙で、自民党は、高村正彦副総裁と、保岡興治憲法改正推進本部長が不出馬で政界引退するということである。高村副総裁といえば、安保法制では北側氏(公明党)とともに、与党協議含め論戦の矢面と調整の中心を担った。生前退位問題でも、法的な議論を一手に担...
放蕩息子を迎えたゴー宣道場
倉持麟太郎
10月8日、私にとっては久々の「シャバ」であった。 いただいた機会でどのような話をするか。私は社会にとって役に立つ人間なのか、自問自答する日々だった。 しかし、師範方や門弟の方々がリスクをとって与えてくださったこの場で、今まで自分が何をしてきたか、特にこの数か月、日常業務や、その時々の問題(皇位、共謀罪等)との闘いをしながらも、ずっと温めてきたものについての...
選挙でのやっていいこと悪いこと
倉持麟太郎
判例・実例によれば、選挙運動とは、「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」とされています(総務省HP)。 これには、期間的な制限と、主体の制限があります。 ●期間 「選挙運動」は、選挙の公示・告示日から選挙期日の前日までしかすることができません(公職選挙法第129条)。 ...
アルゲリッチのシューマンと10月8日のゴー宣道場
倉持麟太郎
ロベルト・シューマン(1810から1856) ロマン派を代表するドイツの作曲家だ。 シューマンはピアニストの師匠の娘で当時スターピアニストだったクララ・シューマンと恋に落ちるが、当時スターになりたてで今後を嘱望された女性ピアニストと、無名な青年作曲家の恋に、周囲は反対した。それでも、二人は結ばれた。とても幸せな時期も過ごした。しかし、シューマンはブラームスの...
憲法改正を「1回」で終わらせるな!フランス見聞録
倉持麟太郎
「政治とはあまりにも重大な事柄なので、政治家に任せておくことはできない」 フランス第18代大統領シャルルドゴールの言葉である。 憲法改正について、自民党が具体的な項目を出してきているとか、某党が踏み絵にしているとか、話題にはなっているが、真っ当な改憲論議はなされていないことは以前指摘した。 新しい政党もごちゃまぜ左翼で護憲を旗色にしているし、困ってしまう。...
永久脱毛と解散権の制限
倉持麟太郎
●解散権の行使は「首相の専権」?フリーハンドの解散権 学説をざっとおさらいしたい。 憲法上、解散についての規定は69条と7条にしか規定がない。解散がどのような場合にできるのか、という解散の要件についてということになれば、69条にある「内閣不信任案が可決されたとき」という規定しか存在しない。通説によれば、この規定は、内閣不信任決議が可決された場合には解散される...
公約や踏み絵になる憲法論にビジョンはあるか
倉持麟太郎
●自民党の憲法ビジョンは何長調? 自民党が、公約に改憲を掲げた。1.9条に「自衛隊」明記の加憲2.教育無償化3.緊急事態条項(議員の任期延長含む)4.合区解消 の4項目である。安倍総理が今年5月3日に掲げたものと同じである。そもそも各論的に1.9条2項で戦力を否定し交戦権を否認しているにもかかわらず、自衛隊という軍隊を保持してきたこと(自衛隊創設という解釈改...
籠の中の小鳥と化した違憲審査権を解き放つ憲法裁判所
倉持麟太郎
●日本型違憲立法審査権の出自立法権は国会に帰属し(憲法41条)、行政権は内閣に帰属し(憲法65条)、司法権は裁判所に帰属する(76条)。 今日扱うのは司法権だ。 司法権ひいては立憲主義の伝家の宝刀、最後の砦たる違憲立法審査権(81条)は、日本国憲法第6章「司法」のチャプターにおさめられている。つまり、司法権の行使の枠内で違憲立法審査権は行使される。 では...
錆びた伝家の宝刀 違憲立法審査権の本籍地
倉持麟太郎
憲法の価値を散々語っても、この価値が侵害されたとき、守られなかったときに、これを担保する実効的なシステムがなければ、普遍的な価値も、絵に描いた餅である。 日本は、書面によらない贈与を規定している数少ない近代民法をもつ国であるが、これは「武士気質」からして、一度した口約束は守られる国民性が反映されている、などと説明されることもある。かなり乱暴な説明ではあるが、...
誰が「自分らしさ」を決めますか?
倉持麟太郎
●自分で決める親戚の家にいくと、こちらの食べたいものはさておき、「いいからこれを食べなさい」と言われて大量のコロッケを食べたりすることがある。このとき感じる違和感は、「自分の善は自分で決める」という命題に背くからだ。しかし、これが進んで「いいから●●教を信じなさい」「いいから●●という道徳観を奉じなさい」という風に迫られた場合、コロッケのように黙って食べるか...
小さな憲法と舌切り雀
倉持麟太郎
●むかしむかし怪我をしたスズメを看病した心優しいお爺さんに懐いたスズメをよく思わなかったお婆さんは、糊を食べたスズメの舌を切って捨ててしまう。スズメを心配したお爺さんは藪にスズメを探しに行くとスズメのお宿に行き着き、あのスズメと再会する。時間を忘れるようなおもてなしを受けたお爺さん、帰らねばならない。そこで出てきたのが二つのつづらである。大きいつづらと小さな...
9条2項改正で開く扉 まどろみから覚醒へ
倉持麟太郎
●さらば「交戦権」前回のブログでは、9条2項で交戦権の否認と戦力の不保持が定められているにもかかわらず、本来ここで禁止されているはずの交戦権の行使による措置を「自衛権」の名でできてしまっていることによる「軍事権の密輸入」と9条2項の規範力の死滅について論じた。これは、立憲主義が国家権力を統制するという考え方を含むとすれば、「交戦権」を否認しながら「自衛権」の...
交戦権のまどろみー9条を殺したのは誰か
倉持麟太郎
●交戦権なんてもうなかった日本国憲法9条の特徴は、9条2項である。9条1項は、戦争一般が違法であることを確認した規定である。すなわち、9条1項だけであれば、いわゆる国際法上の自衛権(個別的自衛権及び集団的自衛権)は禁止されておらず、グローバルスタンダードである。しかし、9条2項では、「戦力」 (land, sea, and air forces, as we...