笹幸恵

1ミリもアップデートできていない、倉山の石頭皇室論

笹幸恵

2026年2月11日 16:56

久々に倉山が皇室のことを書いている。

自民党圧勝で皇室はどうなる?実は理解者が少ない「皇室を続けること」の本質
https://news.yahoo.co.jp/articles/6164d3d08747fed2f932d2487fbf2b98250dff32?page=1

うーん、見事。
1ミリもアップデートできていないのが見事。

我が国の皇室は、初代神武天皇以来、2686年間、一度も途切れずに続いてきた。『日本書紀』によると、神話の時代からだと約180万年続いてきたとされる。年代が特定できる史実から数えても、1400年以上。圧倒的に世界最長不倒の伝統を続けている。

歴代百二十六代、南北朝時代の五人の天皇を含め、全員が神武天皇の男系子孫である。(中略)皇室における男系とは、父親の父親……とたどっていくと必ず天皇・皇族にいきつくことである。だから男子であれ女子であれ、皇族は必ず神武天皇の子孫である。

アホすぎる。
もう何度も書いているが、「欠史八代」はどう説明すんの?
「全員が神武天皇の男系子孫」を証明することなんて不可能だよ?
ちなみに神話の時代といったら、最高神は天照大神だよ?
女性だよ?
もう冒頭で主張が支離滅裂だよ?


例外的に、結婚によって皇族になった女性は違う。皇室は一般人の女性を受け容れてきたが、一般人の男性を一人も受け容れてこなかった。なぜか。男は子供が産めないからである。これを男性差別だと言われても、そういう伝統で続けてきた。


脳ミソがどうかしている。
一般の女性が「結婚によって皇族」になったのは明治典範から。長い歴史でいえば、ごく最近の話だ。
一般人の男性を受け容れてこなかったのは、臣籍降下した場合には「君臣の別」があったからで、皇統を守るための知恵だった。より本質的な意味でいえば父系制の影響だ。子供を産めないからとか、これが男性差別だとか、詭弁に詭弁の上塗りをしているだけ。
完全なるマッチポンプなのに、まるで気がついていないのだから相当ヤバい。

神話と近代とごっちゃになっているかと思ったら、今度は南北朝時代にワープして「正統(せいとう」と「正統(しょうとう)」の話を取り上げている。
皇位継承が危うい、天皇制そのものの存続の危機だというときに、北畠親房を持ち出してウンチクたれることに、何の意味もない。
そこにあるのは「ボクちゃん、知識人でしょ」という承認欲求だけ。


これ以降は、女性天皇を主張するのは「皇室乗っ取り」だの、「パンピーの男」を皇族にしなかったのは「皇室の絶対の掟」だの、知性・品性のカケラもない倉山思い込み節が炸裂。
おい、誰か止めてやれ。

と思ったけど、まだ止まらない。

皇室を存続させると言っても、一般人の男を連れてきて、「皇族になれます」と言われても、それで済むなら苦労しない。はっきり男性差別の発言をするが、なぜ子供も産めないのに皇族にしてやる必要があるのか。蘇我藤原の時代以来、皇室を凌駕する権力者は無数にいたが、一人も皇族になれなかった。皇室を守る絶対の壁だからだ。


語るに落ちるとは、まさにこのこと。

「子供も産めないのに皇族にしてやる必要はない」というのは、裏を返せば、「女は子供が産めるから皇族にしてやる」であり、「女は子供を産んでナンボ」という発想に立脚しているから出てくるセリフだ。
また「はっきり男性差別の発言をするが」と断りを入れているということは、これが「女性差別」につながることをわかっているからだ。本人としては断りを入れて先手を打ったつもりなのだろうが、これで騙されるバカがいると思うほうがおかしい。
ついでに言えば、皇室を凌駕する権力者が皇族になれなかったのは、「絶対の壁」だからではない。前述した「君臣の別」である。

記事終盤では例によって「先例に学べ」「吉例と悪例」などと変わり映えのしない主張をオウムレベルで繰り返し、最後は「旧皇族の皇籍取得」を謳っているが、そんな倉山にはそっくりそのまま、この一文を返す。

皇室を存続させると言っても、一般人の男を連れてきて、「皇族になれます」と言われても、それで済むなら苦労しない。

旧皇族のほとんどは、今では生まれたときから「一般人」である。
「皇族になれます」と言われてもね、それで済むなら苦労しないよね(笑)。

皇室典範を改正して養子縁組をするのは先例がないけど大丈夫?
一般人の男性を皇族にすれば、伝統である「君臣の別」が崩れるけどいいの?
一般人の男性は子供を産めないけど、そこは今回スルーですか?

いちいちツッコミを入れるのもバカバカしい。
そもそも皇統問題を「男」の側だけで語るから、あちこちに説明できない事象が生じ、そのたびに都合のいい歴史的事象とこねくり回した詭弁とを、もっともらしくパッチワークしなければならないのだ。
古代は双系であり、その後も女性の血統が重視され、そこに大陸とは違う「日本らしさ」があった。


歴史の視点に「女」を入れない、「女」を全くないものにする、倉山の異様なまでの男尊女卑こそが自身の主張をいびつにしているのだ。
アップデートできない石頭の実害、その典型である。