高森明勅

小選挙区制+最低投票率の規定なき国民投票法の怖さ

高森明勅

2013年 5月 2日
小選挙区制はよく知られているように、
二大政党の存在を前提に、
政権交代が起こりやすいように工夫された選挙制度だ。

だから、僅かな得票差が大きな議席数の違いをもたらす。

議席獲得に繋がらない死票は、おびただしい数になりがちだ。

「26%の有権者の意見が全体を支配することになる」(小林良彰氏)
との指摘もあるように、
民意が正確に反映しない仕組みなのだ。

選挙の時点で勢いが多少でも勝っている党が、
総取り的に議席を手にする。

その分、過半数の議席は確保しやすい。

このような選挙制度に立脚する国会で、
96条の改正により改憲のハードルを
3分の2から2分の1に下げて、
あとは最低投票率を設けていない国民投票に丸投げ。

そんなことで、果たして立憲主義が機能し得るのか。

我が国が自立した「一人前」の国家になる為の改憲は、
ぜひ実現すべきだ。

しかし、それを容易にするために、
立憲主義そのものを破壊してはならない。