小林よしのり

人手不足は移民への世論誘導

小林よしのり

2014年 6月 12日


NHK「クローズアップ現代」が、景気回復で人手不足だと

報じていた。

キツネにつままれたような不思議な報道だ。

 

新聞その他もアベノミクスで景気回復して、売り手市場

になり、求人難だという。

4月の求人倍率は108倍で、バブル後最高だという。

本当なら大変喜ばしいことで、働きたい人は就職活動

すれば、全員働けるはずだ。

 

だが正社員の求人倍率は061倍で、前月を下回っている。

求人は非正規が中心で、企業が出した求人のうち、

採用に結びつくのは2割にとどまる。

失業率は3%台で変わっていない。

もちろん失業率には、もう就職をあきらめてしまった人は

入っていない。

日本にはニートが60万人もいる。

こういう事実は隠されている。

 

優秀な人材は囲い込みたいから、正社員を増やす企業も

出てきている。

したがって有名企業は「肉食系」のアグレッシブな人材で、

彼女を大切にするような人材は要らないという。

ブラック企業は非正規でいつでもリストラできる人材を

欲している。

 

提案力があって、アグレッシブに働く人材も少ないし、

ブラック企業で先の保証のない奴隷になる人材も少ない。

せっかく日本の生産人口が減ってきて、若者が就職できる

間口は広がってるはずなのに、条件が厳しい。

特に優秀な人材と、3Kでも耐える外国人、上と下を

移民で補強したいという新自由主義の要請に従って、

世論が作られていくのだろう。

 

NHK「クローズアップ現代」は、数週間前まで

女性たちの貧困・新たな連鎖の衝撃」という報道を

していた。

あの貧困女性たちは今頃、ステキな就職先が見つかった

のだろうか?

ようするにNHKは安倍政権へのゴマすりを始めた

ということだ。

ついに権力への迎合に舵を切った。

NHK経営委員会に、安倍政権が送りこんだ極右委員たちが

気に入るような番組を作り始めた。

こうしてファシズムは進んでいく。