高森明勅

礒崎首相補佐官の本音(2)

高森明勅

2015年 8月 1日

安保関連法案のエース、礒崎首相補佐官。

彼は「政府の憲法解釈を政府が変えたらいけないという法理は、
基本的にありません」という考え方。

いやいや、政府の解釈だからと言って、
政府が自由勝手に変えられるなら、
そもそも憲法はいらないー
という話。

当然ながら、解釈には然るべき、憲法そのものに由来する制約がある。

そこが彼には理解できないようだ。

だから、「法的安定性は関係ない」となる
(その制約があるからこそ、
安定性は保たれる)。

彼ばかりか、彼を庇う安倍首相以下も同じ考え方だろう。

礒崎氏はこんなことも述べている。

政権が変なことをしたときにはどうするかというと、
選挙というものが国民に保障されている以上、
それはきちっと淘汰される」と。

要は、選挙に勝てば憲法も自由に解釈、運用できる、と。

これは言い換えると、公職選挙法があれば憲法はいらない、
という話。

選挙で勝った多数党の権力濫用を縛るのが、憲法の重要な役割。

一時的に有権者の多数から支持を得た政党や、
それをバックにした政府であっても、ここから先は「できない」と、
憲法がストップをかける。

それが立憲主義の核心。

その「できない」ことを、
もしどうしても「
やりたい」なら、憲法が定める手続きに則って、
憲法そのものを改正すれば良い。

それなら、立憲主義に何ら抵触しない。

こんなこと、政治や行政に携わる者には、
まさにイロハのイでなければ。

それすら弁えないなら、もはや無知と言うより、野蛮で危険。