高森明勅

「母の日」ありて「父の日」なし

高森明勅

2015年 5月 10日

「母の日」が来ると思い出す。

数年前のある日。

あれは上中里あたりだったか。

息子2人と歩いていた。

私が先。

息子らは後ろ。

次男が兄に、さも不審げに問いかけた。

でもさー、母の日があるのに何故、父の日がないんだろう?
不思議だよね」と。

これに長男は、
「シッ。(と声を潜め)父の日はもう、あるんだよ!」。

「ああ、あるんだ。そう。あったんだ」。

丸聞こえ。

心中、改めて、(父の日って、本当にカゲが薄いんだ)と、
沁々思った。

今年も子供たちは、母の日に家族全員集合してどう過ごすか、
予め相談したようだ。

それに対し、家内はこんな提案をしたとか。

今年は父の日に併せてやらない?」と。

何という妻の優しさ。

だが考えてみると、妻の温情にすがって“合併”して貰わないと、
父の日なんて満足に扱ってもらえない、ってこと?

果たして素直に喜んでよいのか、どうか。