高森明勅

悪夢の4月(2)

高森明勅

2015年 5月 3日

4月27日、「日米防衛協力の指針」(ガイドライン)再改定。

本来なら、憲法を改正し、関連法制を整えた上で、
日米安保条約を改定する-という手順を踏むべき内容。

それを、単なる閣僚同士の話し合いの場でしかない
外務・
防衛担当閣僚会合(2プラス2)で、
あっさり約束してしまった。

国民の議論も国会での審議も一切なし。

立憲主義を採用する普通の主権国家であれば、
到底あり得ないやり方。

しかも、日本が一番望んでいた尖閣諸島防衛への米軍の役割拡大は、
どうなったか?「支援」と「補完」にとどまった。

つまり今まで通り。

一方、自衛隊はどうか?

戦争に明け暮れている米軍の“下請け”として、
世界中に駆り出され、
戦闘行為にもしっかり組み込まれることを約束している。

アメリカばかり都合がいい、殆ど“やらずぶったくり”状態。

10年間で50兆円規模の軍事費削減を進めるアメリカと、
10年間で2倍以上ないし4倍ものスピードで軍拡にひた走る中国

そうした情勢下、日本は独立自尊へと僅かでも踏み出すのではなく、
むしろ対米依存、対米追従をより強め、
ひたすらアメリカの軍事的優位を維持する為に、日本が自ら進んで、
見返りもないの
に、多大の献身を惜しまないと約束した。

だから、アメリカとしては当然、大歓迎。

29日に米議会で演説した安倍首相への
スタンディング・
オベーションも宜なるかな。