小林よしのり

「SAPIO」の特集記事について

小林よしのり

2015年 3月 4日


昨日、「SAPIO」連載の『大東亜論』コンテを描き上げて、

気力を使いすぎたのか、今日は全然仕事がはかどらない。

だが、歴史漫画を描くコツを毎回、会得している感がある。

 

今日発売の「SAPIO」の特集「戦争は血が滾るから恐ろしい

は、わしが聞いてたときよりタイトル表現がまともになった。

いいことだと思う。

最初聞いたタイトルはもっと好戦的だった。

 

だが山内昌之氏の文章はいきなり好戦的で、善悪二元論の見本。

12年前のイラク戦争のときは、中東の民主化に懐疑的な意見を

持つ人かと思っていたが、時代風潮に流されて考えが

欧米化したようだ。

単純にイスラム国=悪と断定して、これを潰せば平和が来ると

思い込んでいる。

 

フセイン政権=悪として崩壊させた反省がないから、教訓も

得られない。

タリバン=悪とした反省もないから、教訓が得られない。

北ベトナム=悪とした反省もないから、教訓が得られない。

日本=悪としたことは、大正解だったと思っているから、

アメリカはその後の侵略に次々失敗する。

侵略ばっかりして反省しないアメリカと価値観を同じにして

しまって日本人として恥ずかしくないのか?

 

中東に欧米が関与するたびに悪化しているのだから、

日本はなるべく等閑視しておくのが一番いいのだ。

 

日本は善悪二元論ではなく、日本独自の道義で、裁定する

主体性を確立したら、出ていけばいい。

その日本人の主体性の問題を、『大東亜論』で描いていくのだが。

 

自称保守の間にはびこる欧米主体の好戦主義、

日本の主体なき好戦主義は、幼稚だからそろそろケリをつける

必要がある。

だからといって反戦平和の原理主義や、自虐史観に戻るような

愚劣を許してはならない。

 

わしの戦争に対する考えは「SAPIO」の記事中で示した。

自らが主体的に決断した戦争でなければ戦う意味はない

と題されて載っている。