高森明勅

食品の異物混入への過剰反応

高森明勅

2015年 2月 16日
最近、食品への異物混入が取り沙汰されることが多い。

少し前ではペヤングソース焼きそばとか。

全商品の回収などに繋がるケースも。

個別の例はともかく、全体的な印象として、いささか大袈裟過ぎ
ないか。

勿論、健康を著しく損なうような場合は別だが。

以前、某大手パンメーカーの商品を買って、異物が混入していた
ことがあった。

早速、購入した店に届けて交換して貰った。

それで一件落着。

と思っていたら数日後、メーカーの社員の人がわざわざ拙宅を来訪。

菓子折りを持参し、丁寧に詫びて帰った。

こうした対応を担当する部署がちゃんとあり、
万全を期しているつもりでも、ごくたまにこんなことがあります。
本当に申し訳ありません」と言っていた。

膨大な数の商品を送り出していれば、僅かな異物混入すら根絶する
のは、殆ど不可能に近いだろう。

それでも敢えてやろうとすれば、莫大なコストがかかる。

全商品の回収にしても同じ。

それは誰が負担するのか?

会社が元々、法外な利益をせしめていたのなら、それを削らせれば
良い。

だがそうでなければ、そのコストの負担は結局、消費者に回ってくる。

値段を上げるか、品質を下げるしかないはず。

よほど悪質なケースでない限り、かつて私が経験したような対応で
特に問題はないのでは。

たとえ重大な結果に繋がらなくても、微細なミスも絶対許さない。

そんな窮屈な「空気」が、もし今の日本に澱んでいるとしたら、
早く入れ替えた方がいい。

もう少しだけ、おおらかになれないか。

やや前に、少年が万引きや商品に異物を混入させる真似をした、
ちんけなイタズラ動画が過大に取り上げられた。

それも、こうした“空気”を逆手に取ったから。

本物のテロリストがこうした空気を意図的に利用したら、
社会を混乱に導くのは極めて容易いだろう。