高森明勅

イスラム国より残虐な政府軍

高森明勅

2015年 2月 12日
先に、イスラム国関連の死者の数を紹介した。

イスラム国の武力攻撃に伴う“治安悪化”
によるイラクでの死者は
1万人弱(昨年年初から9月迄)だった。

これに対し、昨年7月のシリア人権ネットワークの報告では、
シリア政府軍が殺害した民間人は少なくとも11万人弱
うち約1万5千人強が子供、1万4千人弱が女性、拷問による
死者が5千人弱)という。

ちなみにシリアの人口は2000万人強。

だから、こんな評価まで現れる。

「どうやらISIS(イスラム国)は、無政府状態に陥った
シリアとイラクから奪い取った地域で、
それなりに機能的な国家を
建設しつつあるらしい。
長らく流血の宗派間抗争に耐えてきた現地の人々は、
何よりも安定を欲している」

ISISは曲がりなりにも秩序らしきものを用意したが、
その他のテロ組織や復讐の念に燃える政府軍や民兵勢力はおよそ
用できない」(サイモン・スピークマン・コーダル)と。

死者数の比較の為に付言すれば、前にも言及したように、
アメリカの「大義なき」イラク侵攻では、
約100万人のイラク人が犠牲になっている。  

桁外れに巨大な数字だ。