高森明勅

慰安婦問題、安倍外交の連敗

高森明勅

2016年 3月 9日

3月7日、国連女子差別撤廃委員会が慰安婦問題を巡る最終見解を
発表した。

昨年末の日韓合意は「負ければ解決!」を目指していた。

だが、同見解は「まだ負け方が足りないから未解決!」という内容。

わが国に対し、元慰安婦への「完全かつ効果的な賠償」
を求める
ばかりか、
指導者や政治家の慰安婦問題についての発言にまで
制約を加え、
更に教科書に再び慰安婦を取り上げろと要求する
増長ぶり。

驚くべき内政干渉であり、主権侵害的“勧告”だ。

特に注意を要するのは、慰安婦問題を韓国以外の「被害者(!)」
にまで拡げようとしていること。

こんな見解が国連で公表されたこと自体、
安倍政権の慰安婦問題への
取り組みが、いかに真剣さを欠き、
無力だったかを証明している。

早速、これに呼応する動きが出てくるだろう。

新しい歴史教科書をつくる会」などの努力によって、
しばらく中学歴史教科書から慰安婦の記述が一掃され、
最新の教科書でも“確信犯”の1社のみとなっている状況も、
今後どうなるか予断を許さない。

安倍政権下、歴史問題は靖国神社も含めて最悪の状態。

「連敗」に歯止めをかけ、ここからどう挽回して行くか。

重大な局面を迎えている。


なお見解の原案には、わが国の皇室典範の改正まで勧告していた、
という。

皇室典範は日本人にとって聖域と言うべき皇室の基本法。

どのような内容であれ、
典範の改正に国際機関が介入するなど
言語道断。