高森明勅

アメリカ軍事費の実態

高森明勅

2015年 9月 15日

アメリカが軍事費の削減を進めているのは周知の通り。

アメリカのヘーゲル前国防長官は退任直前の昨年11月16日、
米国はもはや、(軍事)予算の規模で敵を圧倒することは
できなくなった」と、
率直に語っている。

その実態について、兵頭二十八氏は以下のように指摘する。

世界の軍事費の3分の1以上は、米国が1国で支出している
といわれる。

だが…各国の消費力を比べるときに使う購買力平価(PPP)の補正を
戦力の調達』についても施すことで、違った真相が見えてくる
アメリカの軍事費はPPP補正すれば世界の2割弱にすぎなくなる

中共の額面の軍事費はアメリカの4分の1だが、PPP補正をかければ、
アメリカの7割までに迫っていることも分かるだろう。

ただ、シナ軍の予算は、広範な汚職体質のために、
資金のざっと2割はまったく無駄な使途に消えているとみなすこと
可能だ」(『兵頭二十八の防衛白書2015』)と。

2割が消えていても、アメリカの5割以上にはなる。

その上、
米国は2016年度の予算から軍事費大削減に直面する」(同)と。

安倍政権が、今年4月に早々と日米防衛協力の指針の再改定に
踏み込み、
それに実効性を持たせる安保関連法案の成立を
急いでいるのも、
その本当の狙いはこの辺にありそうだ。