高森明勅

三島由紀夫の叫び

高森明勅

2015年 9月 5日

安保関連法案を巡る経緯を見て、かの日の三島由紀夫の檄文を改めて
想起した人もいるはずだ。

もつとも名誉を重んずべき軍が、もつとも悪質な欺瞞の下に
放置されて来たのである。

自衛隊は敗戦後の国家の不名誉な十字架を負ひつづけて来た。

沖縄返還とは何か?

本土の防衛責任とは何か?

アメリカは真の日本の自主的軍隊が日本を守ることを喜ばないのは
自明である。

あと二年の内に自主性を回復せねば、左派のいふ如く、
自衛隊は永遠にアメリカの傭兵として終るであらう」と。

ここで「あと二年」と言っているのは、
昭和47年の沖縄返還迄に、という意味。

眼前のいわゆる「保守」派の言説との隔絶に、目が眩みそうだ。