高森明勅

日本は元々「双系社会」

高森明勅

2016年 9月 29日

皇位継承資格について、明治の皇室典範で初めて
「男系の男子」
に限定した。

今の典範は更に「嫡出」という縛り(側室の子は認めない)が
加わった。

かくて現在、皇室の歴史にかつてなかった、
窮屈極まる継承条件となっている。

これでは、皇位の長く安定的な継承は「構造的に」望み難い。

そこで「嫡出」か「男系の男子」か、
どちらかの限定を
解除するしかない。

側室の復活があり得ない以上、前者は解除出来ない。

となると、皇室の存続を願うなら、後者を解除するしかない。

その場合、わが国は元々「男系(父系)社会」ではなかった事実を、
振り返っておくべきだ。

既に、これについては様々な指摘がある。

ここでは、田中良之氏の人類学と考古学の総合的研究の結論を、
引用しておく。

「わが国は当初から父系社会ではなく、東アジアの中で国家を
形成していく過程で双系社会から父系社会に
転換したものである。
そして、その転換も徹底したものではなく、
本来の双系社会の特質を
残した社会であった」
(『
骨が語る古代の家族』)

ーわが国「本来」の双系の伝統を“再発見”することで、
皇室の危機を乗り越えることができるのだ。